≪アンケートに寄せられたコメントから≫ 「うろのひびき」による活劇語り
2019 / 08 / 27 ( Tue ) 8月24日、2019年涼風祭最後の出し物は「活劇語り」。
劇団「うろのひびき」による、宮沢賢治作「セロ弾きのゴーシュ」と太宰治作「貧の意地」の見応えのある二作でした。 今回も多くのメッセージをいただきましたので、いくつかご紹介します。 ≪活劇語りを初めて拝見しましたが、その技術の高さに驚きました。難しい名作をこのように演じられるとは!≫ ≪とてもフシギな世界でした。お一人で何役もこなされ、それでも一人一人の個性が表れていました。またバックでの音が絶妙でした。またどこかで会えますように。≫ ≪久し振りに宮沢賢治のお芝居をゆっくり聞かせていただきました。歯切れの良い熱演がすばらしかったです。またお一人で音響も何もかもなさって舞台効果が素晴らしかったです。≫ 二人だけの小劇団。ひとりが動いて語っての活劇語り、もうひとりは面白楽器の生演奏、という分担。二作で語りと演奏の役割を交代していらっしゃいました。何人分ものセリフを暗記するだけでも大変ですが、それに全身を使った動きも入りますから尚難しいと思いました。 ≪文学作品を楽しく味わえる、ユニークな公演で良かったです!夫婦ゲンカもせずに(たまにはOK)頑張って下さい。≫ ≪「セロ弾きのゴーシュ」動物たちのキャラクターが活き活きと演じられ一人何役ものたちまわりの器用さに感心しました!バックの音響もおもむきあって素晴らしい。「貧の意地」初めてストーリーを知り、原作を読んでみたくなりました。元気いっぱい、笑いいっぱい、素敵な時間を過ごしました。ありがとうございました。仲良しご夫妻の活劇、また拝見したいです。≫ そうなのです。出演の伊藤創さん・純子さんはご夫婦だったのでした。言うまでもありませんが、演者とBGMの息はぴったり。でも、創り上げる過程では喧々諤々、いろいろあったことでしょう。 ≪「一生懸命」を身を以って示す伊藤純子さん・創さんの姿に感動しました。山本周五郎・宮沢賢治の別の演目も見たいです。≫ チラシには、不器用だって、貧乏だって一生懸命、正直に生きていく!とありました。笑いあり、涙あり、そして癒され、音楽堂に響きあうものを感じました。これがまさに「うろのひびき」ということなのですね。 (セイ太郎でした) |
≪鑑賞日記≫ アンサンブル・モンソロ演奏会‐本田早美花とパリの仲間たち‐
2019 / 08 / 19 ( Mon ) 涼風祭もいよいよ残すところ二回、お盆休み最後のこの日は、海外で高い評価を受けているフランスの音楽家グループ アンサンブル・モンソロの四人を迎えました。率いるヴァイオリニストは紅一点の本田早美花さん。銀のドレスが素敵です。そしてスレンダーな黒服男性陣は、ヴィオラSilvain Durantel シルヴァンさん、チェロJulien Lazignac ジュリアンさん、ピアノEmmanuel Christienエマニュエルさんの三人。
![]() 曲は、スークの「ピアノ四重奏」から始まりました。スークは、19世紀チェコの作曲家ドヴォルザークの弟子だった人で、のちに師匠の娘オティーリエと結婚、独自の作風で知られる作曲家です。第一楽章、情熱的な冒頭で始まるピアノ四重奏は、第二楽章ではチェロが美しいメロディーを奏で、第三楽章は早美花さん曰く「冒険のように元気いっぱい」。三つの弦楽器の上品で柔らかい均整のとれた音質と、バックに響く光の粒のようなピアノの音色が耳に心地よく響きました。 ![]() 大曲の後は、マスネの「タイスの瞑想曲」で一息。 ![]() 三曲目は(サン・サーンスのピアノの弟子だった)フランスの作曲家フォーレの初期の作品「ピアノ四重奏第一番」から第一楽章。弦のユニゾンから始まり、やがて豊富で力強い旋律に変わっていきました。 休憩挟んで後半は、若くして亡くなったフランスの作曲家ショーソンの「ピアノ四重奏」から第二楽章。ゆったりとした曲風は、洋酒のかかった濃厚なチョコレートケーキの如き味わい。暗いトーンで静かに曲が終わりました。次は、フォーレの弟子だったというフローラン・シュミッツの「ピアノ四重奏『偶然』」から第二楽章。「上手か下手か分からないダンサーを皮肉って書いたのかも」というこの曲、リズミカルなピチカートと不協和音が面白く目を丸くして耳を傾けました。 そしてサン・サーンス「白鳥」でチェロの響きに癒されました。 ![]() 最後はブラームスの「ピアノ四重奏第一番」から最終楽章。民謡的な踊りの如き血沸き肉躍る緩急のリズムに熱くなりました。 アンコールは再び渋く、ショーソンのカルテット第三楽章。(二楽章の続き。全楽章聴きたくなりました!)それとモンティ「チャールダッシュ」♪ 万雷の拍手で幕が下りました。 ![]() 今回は、あまり知られていない19世紀後半フランスの作品を沢山聴かせていただきましたが、室内楽好きの私には垂涎のプログラムでした。世界的に活躍しているモンソロの皆様、清里の小さな音楽堂にはるばる足を運んでくださって、ほんとうに有難うございました。また是非ともお越しください。 ちょっと追記 譜メクリストは、清里の森管理センターの所長さんでした。手作りの涼風祭、皆様これからもよろしくお願いします。 (清の森子でした) |
≪アンケートに寄せられたコメントから≫ 弦楽とピアノの美しいハーモニー「アンサンブル・モンソロ」
2019 / 08 / 19 ( Mon ) 8月18日は、フランスからお迎えした「アンサンブル・モンソロ」の演奏会。 今回もアンケート回答に多くの感想をいただきました。 ≪タイス、サンサーンス以外は初めて聴く曲で新鮮でした。ショーソンの曲、各楽章の個性が感じられ、又、ハーモニーの美しさを楽しめました。サンサーンスの白鳥、チェロの音、素敵でした。≫ ≪初めて聴く曲が多く、楽しむことが出来ました。マーラーファンとしては、CDに収録されているマーラーのピアノ四重奏を来年は聴かせて欲しい。≫ 確かにあまり目にしない作曲家の名前がプログラムには並んでいましたね。選曲が良いとのコメントも複数頂きました。 ≪曲の説明が分かり易くて良かったです。素晴らしい演奏で感動しました。≫ ていねいな解説があったので曲の理解が深まった、というコメントもありました。 ≪スークのピアノ四重奏、初めて聴くが素晴らしかった。タイスの瞑想曲、サンサーンスの白鳥、ブラームス、いいな。本当に感動した。≫ ≪素晴らしかった!!特にショーソンが秀逸でした。こんなスゴイ人たちの演奏を間近に聴くことが出来て幸せ!≫ ≪ブラームスの四重奏が素晴らしかった。さすが29歳の作品だけあって、これまでのブラームスの重いイメージが力強く、若さにあふれていた。≫ 馴染みのない曲が多かったせいか、聴く人によってイチ押しの曲は様々でした。 ≪こんないいアンサンブルは初めて聴きました。見た目も軽やかで音色の美しさは特別でありました(ヴァイオリン)。日曜日の午後、いい日差しの中いい時間を過ごさせて頂きました。≫ 贅沢な時間でしたね。アンサンブル・モンソロの皆さま、遠路はるばるお越しいただき、本当にありがとうございました! (セイ太郎) |
≪プログラムご案内≫ 「セロ弾きゴーシュ」「貧の意地」活劇語り
2019 / 08 / 18 ( Sun ) 8月24日は2019涼風祭の最終日。
劇団「うろのひびき」による、動いて語っての活劇語りです。 うろのひびきとは、うろ(虚=空洞)なる劇場空間に響くもの 声 楽器の音 肉体の躍動による振動 そして静寂が 観る者ひとりひとりの心の器にあまねく響き 気がつけば あなたは 物語世界に身をゆだねている 今回の演目は、宮沢賢治原作のセロ弾きのゴーシュと太宰治原作の貧の意地の二作です。貧しく不器用でへたなセロ弾きのゴーシュと、同じく貧乏で酒好きな浪人の原田内助が繰り広げる、せつなくもおかしな珍騒動二題。 馬鹿馬鹿しさに笑い、情けなさにキュンとして、あれやこれやの珍動の末に、心がほっくりするという、芝居らしい演目です。大いに笑い、楽しんでください。キイワードは『一生懸命』。いつ何時どんな状況でも一生懸命やることは大切。けっして頑張れとは言わないが一生懸命にやる。けれども、人はやればやるほど、ほろ苦い可笑しさに包まれて生きてゆくようです。この愚かしさを愛することが、生きていくこと、前向きな人生の一歩なのでは? 朗読でもなく、語りでもなく、動く落語とでもいいましょうか、まさに活劇語り。破れ三味線、割れ茶碗などの数々の楽器の生演奏と芝居のからみあいもうろのひびきならではの絶妙さ、生の声、生の演奏で心にじかに響かせます。 「セロ弾きのゴーシュ」はよく知られた宮沢賢治の代表作。下手で楽長に叱られてばかりのゴーシュが、動物たちに翻弄されながらも、毎晩セロを弾き続け、ようやく発表会を迎えますが、さて。ゴーシュはうまく演奏できたでしょうか。生きてくことに健気で勝手でもある動物逹の各々のキャラクターとゴーシュの心の変化が見所です。 ![]() 「貧の意地」は、太宰の作品の中でも底抜けに明るい話です。貧乏浪人が繰り広げる大晦日の酒席での泣き笑いの数々。紛失の一両を巡るハラハラドキドキの大騒動の結末は如何に?様々な浪人逹や女房の語り分けの面白さや、主人公の原田内助の支離滅裂な必死の談義など、見所満載。どうぞ最後までごゆるりとお楽しみください。 ![]() (セイ太郎がご案内しました) |
≪鑑賞日記≫ 雨宮知子の心に沁みる叙情歌が清里の森に響く
2019 / 08 / 15 ( Thu ) 涼風祭四日目は、山梨県出身の雨宮知子さんと甲府市在住の栗原正和さんによる童謡・唱歌・叙情歌コンサート。
淡いピンクにスパンコールが光るドレス姿の歌手雨宮知子さんの愛らしいこと。対するピアノに座る渋い男性は、エンジニア→調律師→ピアニストと転身した栗原正和さん。 ![]() オープニングは季節感あふれる「みかんの花咲く丘」「夏の思い出」。そして優しい歌声で「肩たたき」「ナイショ話」「かあさんの歌」と母を想う万人に共通の心に沁みる曲。 次の「おかあさんの詩」は平成生まれの童謡。「新生児黄疸にかかり脳性マヒになった私」が左足で綴った「お母さんありがとう」「何一つ親孝行できませんけれど一日も長く私のそばにいてください」という歌詞にぐっときました…。 ![]() 続いて栗原正和さんのピアノ独奏で、パリッ子プーランクの軽妙洒脱な「愛の小路」。 ![]() 歌に戻り、沖縄の戦で亡くなった父を慕う「さとうきび畑」、夢の世界のような「月の沙漠」でしっとりと前半が終わりました。 後半は、大正時代にブームとなった浅草オペラで誕生した日本独自の歌謡曲「恋はやさし野辺の花よ」で始まりました。大正浪漫メドレー「ゴンドラの唄」「浜千鳥」「宵待草」「カチューシャの唄」…深い赤と黒の衣装で大人っぽく変身した知子さんが昔懐かしい世界にいざなってくれました。 ![]() 続いて再び正和さんピアノ独奏で、プーランク「即興曲 エディット・ピアフに捧ぐ」。「枯葉」へのオマージュ、素敵でした。 ![]() 最後の二曲は平和を願う歌でした。「一本の鉛筆があれば戦争は嫌だと書く、一枚のざら紙があれば貴方を返してと私は書く」「一本の鉛筆」は美空ひばりが歌った曲です。「折り鶴」は「はばたけ折り鶴、私からあなたへ、あなたから世界へ」と流れるような美しい手話を交えて朗々と。笛吹市出身の雨宮知子さんのご実家は桃を作っているとのお話でしたが、お母様は三つの時に広島で被爆なさったそうです。広島・長崎の原爆が落ちた日を忘れてはいけないというメッセージをしっかり胸に受け止めました。 ![]() アンコール二曲も花丸。爽やかな高原を想わせる「いってしまった夏休み」男声女声のハーモニーが美しく響き、え?このペアでもっと歌ってほしいわ♡と思ったのは私だけじゃないでしょう。中島みゆき「糸」の歌詞「縦の糸はあなた、横の糸は私、織りなす布はいつか誰かを暖めうるかもしれない」「…いつか誰かの傷をかばうかもしれない」とてもいいなぁと思いました。 ![]() 調べにのせた日本語の言葉の持つ力と美しさには心が動かされるものですね。たびたび胸が熱くなり涙腺が緩んだ私、今日はハンカチを握りしめて聴きました。 いついつまでも平和な世界でありますように。みなさん、大切な人のために歌をくちずさみましょう♪ 今日はいつものブログではお目にかけない風景を。 まずはリハーサルの様子。 ![]() いつもは建物の中ばかりですが、音楽堂の外観はこんな感じです。 ![]() 音楽堂横の広場からも八ヶ岳がきれいに見えます。 ![]() (すずし風子) |
≪鑑賞日記≫ 二十五絃筝と細棹三味線:未知の楽器との遭遇
2019 / 08 / 15 ( Thu ) 涼風祭第三弾は、清里らしくとても爽やかな8月10日の開催でした。
前半は、中井智哉さんによる二十五弦箏コンサート。 高級ベンチの如き板の上に、25本の弦(なんて沢山!)が張ってあるお箏が不思議な傾斜で載せてあり、それを低い位置から高い位置へ高い位置から低い位置へと、体を前に傾けながら右手と左手を交互になでるように動かして、音を出す。 ![]() 形状はハープを横に寝かせたような感じだけれど、その音色はある時はギターのよう、またあるときはピアノのようでもあり、また横の板をパンパンと叩いて硬い木質の音も出す。その両手の動きの美しいこと、素早いこと。さわやかな色気すら感じさせる演奏にびっくり。十三弦のお琴で奏でる古典しか聴いたことのない自分には未知の楽器との遭遇でありました。 ![]() 幻想的な月の光を想わせる優美な音色の「おぼろ月夜」から始まり、洒落た「枯葉」、けだるい「サマータイム」と、ジャンルを超えた魅力的な音色の数々…。圧巻は、中井さん自作の、お能を題材にした「葵上」、そして前半ラストの「花のように」。「花は心」という世阿弥の言葉をモチーフに、人々の夢や希望を後押しする気持ちで作ったそうです。 舞台の上でこれからも精進なさって、新しい箏の演奏者、作曲者として智哉さんご自身も大輪の花を咲かせてくださるのでしょう。 ![]() 後半は、着物姿もあでやかな江戸っ子山本ゆきのさん(細竿三味線)と、中井智哉さん(二十五弦箏)お二人のユニット「MARU-YA」によるお座敷唄コンサートでした。 ![]() 「お江戸日本橋」、「伊勢音頭」、「紅蓮の炎(中井智哉さんオリジナル)」、「ソーラン節」、「ちゃっきり節」、「米山甚句」、「ドンパン節」、「花笠音頭」と会場のお客さんも巻き込んで始終賑やか。 ![]() 「三下りさわぎ」で「さーさーうぃたーうぃたー、やーと、やーとやーとぉ」と(知らない私は言われるがまま口ずさみ手拍子を打ち、)賑々しく華やかに幕が下りたのでした。 ![]() MARU-YAユニットのお二人、11月はサウジアラビアで演奏なさるそうです。アラブのお金持ち達が聴きにくるのかな?世界中に「古き良きニッポン&新しき良きニッポン」の文化と芸術を広めてくださることでしょう。 あぁ、今回もなかなかに趣ある涼風祭でした。音楽堂から外を見ると、清里の森のシンボルを模ったステンドグラスの下に涼しげな風景が広がり、玄関脇には例年より少し遅めのヤマユリが控えめに咲いていました。 ![]() ![]() (風のすずこ) |
清里の夏にぴったりの涼しい歌声が聴衆の心に届きました
2019 / 08 / 15 ( Thu ) 8月12日は、雨宮知子さんと栗原正和さんの童謡・唱歌・叙情歌コンサートでした。
アンケートに寄せられたメッセージをご紹介します。 ≪戦後生まれですが、なぜかほとんど知っている歌でした。選曲が私にとってはexcellentでした。おかあさんの詩、初めて聴きました。感動しました。涙がこぼれました。涙そうそう、さとうきび畑、美しい歌声を聴きながら、声を出さずに一緒に歌ってました(気分良い!)栗原さん、歌声も素晴らしい。≫ ≪清里の夏にぴったりの涼しい歌声に心がきれいになった心地でした。子供のころによく聞いた童謡ですが、大人になって聴くと違う目線で感じ入るところがありました。今日は素敵な音楽をありがとうございました。栗原さんの美声が聴けるなんて・・・・。≫ 歌詞に込められたメッセージや、夏の清里にぴったりの雨宮さんの歌声が、清々しい感動をもたらしたのだと思います。 ≪おかあさんの詩、一本の鉛筆、折り鶴(手話も)が特に良かった。≫ ≪アンコール曲「いってしまった夏休み」がデュエットでおこなわれ、二人の澄んだ歌声が染みました。≫ ≪ピアノソロもっと聴きたかったです。一本の鉛筆、とても良い歌でした!≫ 「おかあさんの詩」「一本の鉛筆」「折り鶴(手話付)」へのコメントが多くありました。栗原さんのピアノソロ(シャンソン)、栗原さんも加わったデュエット「いってしまった夏休み」も好評でした。 ≪八月に過去の悲しい歴史を振り返り、メッセージ性のある平和を歌ってくださったのが胸に響きました。幸せに生きていることに改めて感謝!です。ありがとうございました。≫ ≪「折り鶴」がとても良く、この夏を締めくくるような平和を祈るメロディ。雨宮さん母上は3歳で被爆とのこと、声・表現に祈りが溢れていた。ありがとうございました。≫ この時期にふさわしいプログラム、選曲が来場者の心に届いたようです。雨宮さん、栗原さん、ありがとうございました。 今年の涼風祭もあと2回を残すのみ。 8月18日(日) アンサンブル・モンソロ(ピアノ四重奏) プログラムはこちらから 8月24日(日) うろのひびき(活劇語り) 多くの皆さまのご来場をお待ちしてます!!! (セイ太郎) |
二十五絃筝と細棹三味線による新たな世界への飛翔を試みる
2019 / 08 / 14 ( Wed ) 俳句の達人から頂戴したメッセージです。
――― ― ――― ― ――― ステージの真ん中に二十五絃筝が置かれていた。ハープを横たえたように、或いは、どこかの海の渚のように、不思議な静けさが漂っていた。30年前に誕生した、この和楽器は、日本の古典はもとより、西洋音楽の様々な音域を獲得した。 ![]() 一方、お座敷芸の細棹三味線の世界は、座の遊びの粋を、ご当地ソングの地域の座に拡大しながら、二十五絃筝の開く、様々な音域や曲想と競い、遊び、共振しながら、新たな世界への飛翔を試みる。 ![]() 古きものにある、本情を現代に生かして、新たな遊びの場を提供しようとする、《マルヤ》の試みは、確かな手応えを感じさせてくれるものだった。 (公一) |
≪短信≫ 二十五絃筝:ハープのような和楽器の音色を楽しむ
2019 / 08 / 11 ( Sun ) 8月10日(土)、涼風祭に新たな1ページが加わりました。二十五絃筝と三味線による新しい音楽です。この日も多くのご来場者からアンケートの回答を頂きました。二十五絃筝の音色に魅了された方が大勢いらっしゃったことがよく分かりますので、少しご紹介したいと思います。
≪初めての楽器でハープのような琴のような音色で面白かったです。≫ ≪お箏のイメージを根底から変えてくれ、現代楽器ほどシャープにダイナミックに演奏できることにひたすら驚嘆した次第。凄い!三味線も!≫ ≪二十五絃筝を初めて見て初めて聴いて、とても魅力的だと思いました。三味線と唄の山本ゆきのさんも声も姿も美しい方で感動しました。新しい音の世界が拡がった気がします。ありがとうございました。≫ 二十五絃筝の演奏を初めて聴いたという方が大多数でした。音色の豊かさ・繊細さ、楽器の大きさ、立って演奏すること、いろいろな発見があったようです。 ≪二十五絃筝初めて聴きました。素晴らしい音色でした。是非また聴きたく思います。また、和楽器の良さを大いに若い人たちにも広げてもらうようお願いいたします。≫ ≪本情を失わずに世界の諸音楽の力を借りながら、新しい世代の新しい音楽を求める姿勢とそのひとまずの成果に拍手する。演奏に満足した今日のオーディエンスは希望の確かさ。頑張ってください。≫ ≪古典の良さもあり、若手による新しい演奏の方法は新鮮さがあり、今後の活躍に期待したいです。≫ 中井智弥さんのチャレンジと成果を称え、二十五絃筝がさらに広く知られることを期待するメッセージが多くありました。 ≪MARU-YAお座敷唄もいいです。素晴らしい唄がいいお大尽になった気分です。≫ ≪中井さんの音楽最高です。「葵上」すごい!山本さんのドレス姿が見たかったです。「紅蓮の炎」恰好よかったです≫ ≪二十五絃筝の普及や邦楽の発展への強い意欲と熱意が感じられた。紅蓮の炎がとても良かった。中井さんの地唄ももっと聴けると良かった。山本さんとのデュエットも良さそうです。≫ MARU-YAの進化系お座敷唄も楽しんでいただけたと思います。「紅蓮の炎」「葵上」はいずれも中井智弥さん作曲ですが、情念のこもった曲は聴きごたえがありました。 (セイ太郎でした) |
≪鑑賞日記≫ 情熱のラテンサウンド 清里の森に響き渡る (8月4日)
2019 / 08 / 10 ( Sat ) 涼風祭二日目は「ヤマダ・ミュージックランド(YML)」の登場です。
アルト・サックス4人、テナー・サックス3人、バリトンサックス1人、トランペット5人、トロンボーン3人それにピアノ、ベース・ギター、パーカッション、ドラムスのメンバーが揃いの紫のブラウスで登壇。率いる赤い衣装の山田勇さんを加えると総勢21名。 ※「ビッグバンドって何?」という人のためにおさらい。 管楽器を主体にした15名以上のジャズのオーケストラ。サックス、トランペット、トロンボーンをメインに、リズム・セクション(ドラム、ベース、ギター、ピアノ)という構成が一般的。日本では、1950年代にダンスがはやり始めたころにビッグバンドが生まれ、東京キューバンボーイズなど有名バンドが60年代に広く知られるようになった、と山田リーダーも解説してました。 ≪YMLのホーンセクション≫ ![]() ≪YMLのリズムセクション≫ ![]() ※さらに「ラテン・ジャズって何?」という人のために解説すると、 様式的起源はジャズ、マンボ、ルンバ、チャチャチャ。文化的起源は20世紀前半、アメリカ合衆国、だそうです。 さて、「情熱のラテンサウンド」オープニングはいきなり熱い「Without you(あなたなしでは)」。続いてミュージカルMy Fair Ladyの「一晩中踊り明かそう」、西田佐知子のヒット曲「コーヒールンバ」、氷結CM曲「Paradise has no border」♪ 次第に会場の雰囲気も熱くなってきたころ、「西條秀樹ゴールデンヒット」が始まった。ヤングマン、情熱の嵐、Y.M.C.Aなどのヒット曲が熱く響く。そしたら、会場席の真ん前にちびっこがいつの間にか現れ、体をふりふり手をふりふり。指揮者と揃いのリズム感覚でなかなか上手い。お客さんも笑いながら手拍子。山田さんもバンドの皆も顔色変えずに温かい雰囲気で演奏続行。この少年は南部町の小学5年生のマヒロ君。YMLのおっかけで、毎日YouTubeを観て練習していると聞きました。盛り上がったYMCA、会場も一緒に踊っちゃいました。 ネットの某ブログで見つけた情報によると… YMLは1995年に結成されたビッグバンドで身延高校吹奏楽部0Bを中心に活動。ジャンルはラテンを中心に、ジャズ、ポピュラー、歌謡曲など。代表の山田勇先生は、作曲、編曲を手掛け、ほとんどの楽器を演奏するスゴイお方。軽妙なトークも評判な身延小学校の元校長先生だそうです。メンバーの年齢は20代から60代と幅広く、職業もさまざま。 地域のイベントなどに参加してはラテンの楽しさを紹介している…とか。山田さん、校長先生だったとは!どおりで包容力のあるお顔と解説でした。 ![]() 続いて、トランペットソロが入る「セレソローサ」、トロンボーンの「キャラバン」、「コパカバーナ」と続いて、前半があっというまに終わりました。 後半は皆さんオレンジのブラウスに衣替え、「マンボNo5」からスタート♪ ルンバの「エストレリータ」に続いて70sヒットメドレーは「水色の雨」「ルージュの伝言」「かもめが翔んだ日」。そして、「ディス・マスカレード」「タブー」「ベサメムーチョ」「クマーナ」。 「闘牛士のマンボ」「マンボNo8」とソロも交えつつ最後まで熱いステージ。 ![]() 秀逸は「闘牛士のマンボ」のアルトサックス。熱いハートがびんびん伝わってくる素晴らしい演奏にうっとりしました。 ![]() 懐かしい曲がシニアの多い客層にマッチして、聴きながら体を動かしている人が多くいらっしゃいました。きっと踊りたい人もいたでしょうね。とにかく、皆さん楽しそうで笑顔で会場を後にしていました。次は芝生の上でビールを飲みながら聴くのもいいなぁと思ったのでした。YMLいつでもメンバー募集だそうです♪ (清の里子) |