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≪鑑賞日記≫ 笛吹高校すいれき太鼓部/Contorni
2020 / 08 / 31 ( Mon )

8月22日 ゴロゴロと微かに雷鳴が聞こえる中を会場へ向かう途中、音楽堂近くの広場からリズミカルな掛け声と手拍子が聴こえてきた。笛吹高校の生徒さんたち。こんにちは!とハキハキ挨拶してくれました。

今日は二部構成、前半は日本一を獲得した高校生達の太鼓。後半は和楽器&古楽器の演奏という異色の取り合わせ。

第一部
ドン!という太鼓の音で幕開けだ。いちばん始めは「218打」

611_218打

揃いの白い装束がカッコいい。背筋を伸ばしてヤッ!礼!と挨拶する掛け声の、若々しいこと。

舞台に現れた顧問のモチヅキ先生によると、笛吹高校すいれき太鼓部は年間50回程演奏してきたけれど、今年は御多分に洩れず活動が止まってしまい、今日が久々のステージだそう。
続いて、作曲・指導を受け持つ前田先生が壇上に。舞台初デビューの一年生が心配で付いてきました、とご挨拶。金髪短パンの今風ルックスの先生、調べたら凄いお方でした。
前田タクヤ氏:山梨県笛吹市生まれ。作曲家、ミュージシャン、和太鼓奏者、マルチプレイヤー。音楽ユニット「風カヲル時)」のメンバー。和太鼓天野流師範。「やまなし大使」、「笛吹市観光大使」、…。

二曲目は、「炎 〜エン〜」
力強く大きい炎、小さい炎、どちらも熱い。自然の摂理と緊張感を現したという。フォルテで叩く、ピアニッシモで叩く、そのエネルギーを操るトレーニングも兼ねている曲だそうだ。どれだけ練習を重ねてきたのでしょう、見事に大小の炎を叩き分けていました。舞台前列中央の男子、パーカッショニストの如く高速撥捌きで拍を刻んでいました。

612_炎全体

613_パーカッショニスト


三曲目「大地の鼓動」
ここからの解説は生徒さん達。マイクを持つとやっぱりティーンズ。早口になるのもご愛嬌、ガンバレ。
篠笛を吹く女子は初々しく、担ぎ太鼓の女子は力強い。エーイエーイという掛け声と共にポニーテイルに結った髪の毛が揺れる揺れる。撥を持った右手をぐいっと前に突き出して、強い目力のポーズも決まっていました。

614_目力


四曲目「66番」は、なんとも楽しい夏祭りの風情。
一年生はこれが初舞台だとか。さぞ、今日の舞台を心待ちにしていたことでしょう。みな満面の笑み。グイグイとリードして舞っていたのは三年生かな。
お客さんも手拍子で応援しました!

615_66番


トリは「笛吹権三郎とその母に捧げる 〜月影の哀歌〜」
〔昔、笛の上手な権三郎という孝行息子が、母親と暮していた。あるとき大洪水で濁流に呑み込まれ、母は流されてしまう。篠笛を吹きながら母を捜す権三郎も、やがて疲れ果て流されてしまう。川の音が笛の音のように聴こえることから笛吹川と呼ばれるようになった。〕…そんな悲しい由来があったとは知らなかったわ。
二本の篠笛の重奏は、どこかアンデス民謡の調べに似て哀愁に満ちていました。

616_権三郎


すいれき太鼓部は、一年生12人、二年生7人、三年生8人の計27名で活動しているそうです。「感動を届けるために日々精進します。」と〆の挨拶に大きな拍手が湧きました。

617_締め


アンコールは再び、みんな笑顔で「66番」。

618_アンコール


これからも君たちの躍進を応援してます!

619_片付け




第二部
休憩時間、頬を上気させた高校生達は沢山の太鼓や道具を大きなトラックに積み込み、涼風と共に去っていき…
席に戻ると、舞台には金色に光るハープとぽろんぽろんと調弦する美女の姿がありました。

621_調弦


Cantorni(コントルニ)は、incontroのアナグラム、イタリア語で「縁取り、飾り」を意味するそうだ。
出演者の久保田潤子さんは歌も歌うバロックハープ奏者、そして阿部大輔さんは歌も歌う尺八奏者。お二人とも和を感じさせる佇まい。
第一部のパワー弾ける太鼓集団とガラリと雰囲気変わるけど、そうか「和」繋がりなのかと納得。

演目はメンデルスゾーン「歌の翼」から始まりました。

622_最初


岡野貞一「朧月夜」、木村弓「いつも何度でも」(千と千尋の神隠し)、R.ロジャース「私のお気に入り」(サウンド・オブ・ミュージック)と、耳に馴染み深い曲が時代の新旧取り混ぜて続きます。聴いてる自分は日本にいるのか、欧米を旅しているのか、はたまた宇宙を漂う小さな星に立っているのか、なんとも不思議な感覚でした。

623_歌


武満徹「小さな空」は私の大好きな一曲。
“いたずらが過ぎて 叱られて泣いた 子どもの頃を思い出した” 胸にじーんときました。
E.diカプァ「オー・ソレ・ミオ」はイタリア語でしょうか?
お二人とも弾いた(吹いた)と思ったら次の瞬間には各国語で朗々と歌っていらして、とっても器用だなぁと感心しきり。

624_歌


ここで楽器紹介。
尺八は日本に古来からある楽器。名称は標準の管長が一尺八寸(約54.5センチ)あることに由来する。(阿部さんは長短様々三本の尺八を用意していらっしゃいました。)
竹で作られ、斜めにカットされている歌口に息を吹きつけて音を出す。手孔は前面に4つ、背面に1つ。音程を変えるには、吹き口の位置を変えるか、リコーダーの様に指の押さえ方を変える。ビブラートをかけるときは顎の上下運動あるいは首を横に振る動作で。これは熟練が必要な楽器と判りました!

625_尺八指


対するバロックハープもレアな点では負けません。
久保田さんのハープはイタリアで17世期に作られた楽器のレプリカ。ローマの博物館でオリジナルを観ることができるそうです。現在のダブル・アクション・ペダル・ハープと異なるのは、ペダルが無いこと。弦は三列に張られ、両脇はピアノの白鍵の並び、真ん中が黒鍵の並び。羊の腸を使ったガット弦が、久保田さんの楽器には76本張られているそうです。(わぁ…調弦に時間がかかるわけです。)有名なガリレオの弟が作曲したという小品に続き、尺八とのコラボで「グリーンスリーブス」を聴かせてくれました。

626_指ハープ


それぞれの楽器が由来するお国の音色もたのしみました。
日本民謡「黒田節」お馴染みの「酒は呑め呑め」尺八の渋い音色がぴったりです。
J.ダウランド「流れよ、我が涙」「おいで、再び」はハープの金属質の音色がリュートを想起させました。
最後の一曲V.カレスターニ「可愛いお嬢さん」は中世イタリアの酒呑みの歌。“そのルビーの滴のような赤ワインを注いでおくれ”“このトパーズの滴のような白ワインを注いでおくれ”
歌詞にグッときて、ワイン飲みたい気分に♪

アンコールは「サンタルチア」。
久保田さんの歌に続き、おもむろに歌い出した阿部さん。「酒は呑め呑め 呑むならば〜」ん?黒田節?と思ったら「一樽 二樽 三樽ちあ(=サンタルチア) 」ときて、会場が笑い声で湧きました♪

627_サンタル


酒は呑め呑め〜

(今夜はサンタルほろ酔いスズコでした)
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ご来場の皆さまからのメッセージを紹介します:8月22日笛吹高校すいれき太鼓部/Contorni 演奏会
2020 / 08 / 25 ( Tue )

8月22日(土)の涼風祭は、第一部:笛吹高校すいれき太鼓部による勇壮なステージ、
第二部は二人のユニットControniが声楽・尺八・バロックハープの組み合わせで新しい音楽を奏でました。
アンケートに寄せられた、公演内容についてのご感想や出演者へのメッセージから、いくつかピックアップしてご紹介します。

まずは、第一部すいれき太鼓部に寄せられたメッセージですが、高校生の力強さ・エネルギーに感動したという声をとても多くいただきました。
『エネルギーいっぱいの若者、息の合ったバチさばき、昔からある太鼓の響きが今のコロナのちぢこまった暮らしを吹き飛ばすような、かけ声にマッチした動きが見事でした。平素の練習に汗を流し、心も体も鍛えられていることでしょう。』
『すいれき太鼓部の演奏は部員の皆さんの心が一つになった迫力ある音の連続で圧倒されましたし、とても感動しました。』
『コロナウィルスで発表の場を失いながらも今日はエネルギー溢れる演奏とても良かったですよ。コロナにまけず頑張ってください。曲の説明するときゆっくり私達に分かるように説明して下さいね!』
『笛吹高校の皆様、素晴らし演奏をありがとう。夏祭りに参加できたような気分でした。コロナ禍のもやもやが吹き飛びました。』
『若々しい演奏をありがとうございました。力強くエネルギッシュで力をもらいました。明日からの農作業に力が入ります。ありがとうございました。』


高校生らしい清々しさ、ひたむきさが良かったという感想も。
『最前列に笛吹高校すいれき太鼓部の演奏を拝聴、又見せて頂き、若さはじける美しさに感動致しました。元気そして溢れる魂の美をいっぱい頂きました。』
『清々しく、清冽な演奏が印象的でした。高校生らしい清からさとみなぎるエネルギーを感じました。女子部員が多く、しなやかな振り付けに、力強さだけではない太鼓の魅力を再発見しました。』


そして、技術が高いことを称えたメッセージもありました。
『高校入学後に始めた方がほとんだと思いますが、技術の高さに驚きました。きびきびした態度や、真剣なまなざしにも関心しました。』
『高校生のみなさんの技術の高さと真摯さがすばらしかったです。『66番』でみなさんが太鼓を楽しんでいらっしゃる様子が伝わってきました。』
『笛吹高校太鼓部の演奏はとてもすばらしいと思いました。プロの演奏にも負けていないですよ。かつ清々しい、それが高校生の良さでしょう。いい演奏を聴かせていただきました。ありがとう。』
『感動しました。炎の緊張感、66の笑顔のギャップにびっくり。女子の体力的にきつそうなのに、よく頑張っていて、うれし涙がでました。』
『一部も二部もとてもよかったです。コロナに負けるな!! 娘の初のステージ!! これからもがんばれ!!』

最後のメッセージは、親御さんからの暖かい言葉ですね。


続いて、第二部のControniへのメッセージです。

尺八とハープと歌唱という意外な組み合わせに関する新発見と、心地良さへの感想を多くいただきました。
『めずらしい演奏形態ですね。楽しみにしてきました。楽器を演奏しながら歌ったり、すごいですね。感心致しました。』
『ハープと尺八のアンサンブルは初めてでしたがすばらしかったです。バロックハープの音色がすてきでした。』
『古楽器の尺八と小さいハープ、それに歌声が抑えられた響きでとてもアットホームで心地よかった。』
『人の力が持つすばらしさを改めて感じさせてもらいました。素晴らしかったです。』
『尺八とバロックハープの演奏初めて聴きましたが、意外な組み合わせですが音楽の奥深さと感じました。学校で演奏して欲しいです。』
『和洋の壁をいとも簡単に乗り越えたユニット。インコントロの音楽劇を観てみたい。』

バロック音楽から日本の唱歌まで、レパートリーの広さなどについてもコメントをいただきました。
『声楽(歌)・ハープ・尺八の組み合わせによってあらゆるジャンルがカバー可能で、新鮮で面白かった。武満徹の『小さな空』、木村弓の『いつまでも何度でも』が心に沁みた』
『選曲が良かった。尺八とハープ、バスとソプラノの演奏は楽しく見事だった。』
『コントルニは珍しい楽器の組み合わせ、美しい歌声、心地よく酔いしれました。楽器の説明もありがたかったです。』


Contorniの演奏は新鮮な風、爽やかな風といった趣で、涼風祭にピッタリの新しい出会いでした。
(清志郎)
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≪プログラムのご案内≫ 8月23日 齊藤一也ピアノリサイタル 自然と巡る名曲ロマン紀行―清里の風にのせて
2020 / 08 / 18 ( Tue )
8月23日(日)は、韮崎市出身のピアニスト齊藤一也さんによるピアノリサイタル。

国内外で数々の入賞歴を誇るその実力と、清里の自然を舞台にしたイマジネーション溢れる名曲の世界を、親しみやすいトークと共にお楽しみください。



- プログラム -


J.S.バッハ=E.ペトリ: 羊は安らかに草を食み (カンタータ「狩こそ我が悦び」より)
Johann Sebastian Bach =Egon Petri : Schafe Können sicher weiden BWV208 No.9


L.v.ベートーヴェン : ピアノソナタ 第25番 「かっこう」 ト長調 作品79
Ludwig van Beethoven : Piano Sonata No.25 ‘Cuckoo’ in G Major op.79

     第1楽章 プレスト アッラ テデスカ (1st mov. Presto Alla Tedesca)
     第2楽章 アンダンテ (2nd mov. Andante)
     第3楽章 ヴィヴァーチェ (3rd mov. Vivace)    


F.シューベルト : 即興曲 作品90より 第2番 変ホ長調
Franz Schubert : Impromptu in E Flat Major op.90 No.2


F.リスト : 巡礼の年 第一年 「スイス」より
Franz Liszt : Années de Pèlerinage 1er année ‘Suisse’

     第2曲 ヴァレンシュタットの湖で (Au lac de Wallenstadt)
     第4曲 泉のほとりで (Au bord d’une source)
     第9曲 ジュネーヴの鐘 (Les cloches de Genève)


F.リスト : ラ・カンパネッラ (パガニーニの主題による大練習曲 S.141より第3曲)
Franz Liszt : La Campanella by Grandes études de Paganini S.141 No.3


- 休憩 -


F.ショパン : 幻想即興曲 作品66 嬰ハ短調
Frederic Chopin : Fantasie Impromptu op.66 in C sharp minor


F.ショパン : 24の前奏曲 作品28
Frederic Chopin : 24 Préludes op.28

      第1番 ハ長調 (no.1 in C Major)
      第2番 イ短調 (no.2 in A minor)
      第3番 ト長調 (no.3 in G Major)
      第4番 ホ短調 (no.4 in E minor)
      第5番 ニ長調 (no.5 in D Major)
      第6番 ロ短調 (no.6 in B minor)
      第7番 イ長調 (no.7 in A Major)
      第8番 嬰ヘ短調 (no.8 in F sharp minor)
      第9番 ホ長調 (no.9 in E Major)
      第10番 嬰ハ短調 (no.10 in S sharp minor)
      第11番 ロ長調 (no.11 in B Major)
      第12番 嬰ト短調 (no.12 in G sharp minor)
      第13番 嬰ヘ長調 (no.13 in F sharp Major)
      第14番 変ホ短調 (no.14 in E flat minor)
      第15番 変ニ長調「雨だれ」 (no.15 in D flat Major ’Raindrop’)
      第16番 変ロ短調 (no.16 in B flat minor)
      第17番 変イ長調 (no.17 in A flat Major)
      第18番 ヘ短調 (no.18 in F minor)
      第19番 変ホ長調 (no.19 in E flat Major)
      第20番 ハ短調 (no.20 in C minor)
      第21番 変ロ長調 (no.21 in B flat Major)
      第22番 ト短調 (no.22 in G minor)
      第23番 ヘ長調 (no.23 in F Major)
      第24番 ニ短調 (no.24 in D minor)


※曲目・曲順は一部変更になる場合がございます。



齊藤一也 Kazuya Saito

 山梨県生まれ。4歳からヤマハ音楽教室にてピアノと作曲をはじめる。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学卒業後に渡仏。パリ国立高等音楽院学士課程、修士課程を審査員満場一致の最高成績で卒業。その後ベルリンへ渡り、ベルリン芸術大学修士課程を最優秀で卒業。2020年3月に完全帰国。
 現在、東京藝術大学附属音楽高等学校非常勤講師。一般財団法人地域創造による公共ホール音楽活性化事業 (おんかつ) 2020・2021年度登録アーティスト。株式会社東京コンサーツ所属。
 
 高校在学中に第4回東京音楽コンクール最高位 (第2位)。藝大在学中に第9回スペイン人作曲家ピアノ国際コンクール第3位、G.B.BRAVO賞。 第66回ロン・ティボー国際コンクールファイナルにて、フォーレの演奏における最優秀賞Madame Gaby Pasquier賞。第5回ヴィルトォーゾ・ド・フトゥール国際コンクール最高位 (第2位)。第79回日本音楽コンクール第3位。パリ留学中、第82回日本音楽コンクール第2位、三宅賞,岩谷賞(聴衆賞)。第8回カンピージョス国際ピアノコンクール第1位。第61回マリア・カナルス国際音楽コンクール第4位。第18回パロマ・オシェア・サンタンデール国際ピアノコンクールファイナリスト賞。第7回マッサローザ国際ピアノコンクール第1位。ベルリン留学中、第66回ARDミュンヘン国際音楽コンクールセミファイナリスト。第22回アルトゥール・シュナーベルコンクール最高位 (第2位)。ベルリン・スタインウェイハウスで行ったリサイタルが評価され、スタインウェイ賞を受賞。

 これまでに沼尻竜典,梅田俊明,広上淳一,曽我大介,高関健,増井信貴,薬袋貴,Ovidiu Balan,Didier Benetti,Pablo Gonzalezの各氏の指揮のもと,東京フィルハーモニー交響楽団,新日本フィルハーモニー交響楽団,東京交響楽団,藝大フィルハーモニー,山梨交響楽団,フランス国立管弦楽団,Mihail Jora Bacauフィルハーモニー,スペイン放送交響楽団、ミュンヘン室内楽団等と共演。
 東京や地元山梨でのソロリサイタルをはじめ,仏パリ,ビルフランシュ,英ロンドン,西バレンシア,セゴビア,スイス、モンタナなどの音楽祭にも招かれソロリサイタルを行う。また室内楽などアンサンブルにも積極的に取り組んでいる。

 2010-2012年度ヤマハ音楽振興会音楽支援制度奨学生。2013-2014年度ロームミュージックファンデーション奨学生。2015-2016年度明治安田クオリティオブライフ奨学生。2017年よりスイスのフォンダシオン・クラバルテより奨学金を受ける。
 これまでに清水里華、石丸八重子、青木進、山下葉子、秦はるひ、Michel Dalberto、Claire-Marie Le Guay、Björn Lehmannの各氏に師事。

 2020年、12月にデビューCDをリリース予定。齊藤一也の公式ウェブサイトで今後の活動などを随時配信中。

kazuyasaito-pianist.com 
こちらのQRコードからもアクセスできます。 齊藤一也QR 


12 : 21 : 36 | プログラム・内容 | コメント(0) | page top
≪プログラムのご案内≫ 8月22日 笛吹高校すいれき太鼓部/Contorni
2020 / 08 / 18 ( Tue )

8月22日(土)の涼風祭第6弾は、二部構成になります。

第一部は、全国大会で数々の賞を得てきた山梨県立笛吹高校すいれき太鼓部による勇壮なステージ。
第二部では、バロック音楽から唱歌まで幅広いレパートリーを持つContorniが新しい音楽との「出会い」を生み出します。



第一部 笛吹高校すいれき太鼓部

すいれき紹介

今年は、全国高校生太鼓甲子園での優勝を狙って練習を重ねてきましたが、新型コロナ感染症の影響で大会もイベントもキャンセルが続きました。そんな中、この涼風祭の舞台で全てのエネルギーを解き放ちます!


― ― ― プロフィール ― ― ―

笛吹高等学校すいれき太鼓部は、山梨園芸高校すいれき太鼓部として平成9年に創部しました。「すいれき」とは、山梨園芸高校校歌の一節「翠(みどり・すい)したたる櫟(くぬぎ・れき)原(はら)」から命名しました。諸先輩方の櫟林(れきりん)開拓の苦難を偲び、伸びゆく新芽に若人の未来を重ねています。創部22年、多くの皆様方から御声援を頂き、年間約40回、地域のイベントに招かれ地域に根ざした活動を展開しています。また、各種大会にも積極的に挑戦し、全国高等学校文化連盟総合文化祭に10年連続、関東地区高校生和太鼓選手権金賞受賞、そして昨年度初出場した「世界和太鼓打ち比べコンテスト」では一般・ジュニア団体の部において最優秀賞である文部科学大臣賞を受賞し、創部以来初の日本一の座を頂く事ができました。
【令和元年の大会成績】
 世界和太鼓打ち比べコンテスト 団体の部において文部科学大臣賞受賞(日本一)
 第10回全国高校生太鼓甲子園 審査員特別賞(全国3位)
 第10回関東地区高校生和太鼓選手権大会 銀賞受賞
 第40回山梨県高等学校芸術文化祭郷土芸能部門 芸術文化祭賞(3年ぶり最優秀賞)



― ― ― プログラム ― ― ―

1: 218打
2: 炎~エン~
3: ハナビ
4: 笛吹権三郎とその母に捧げる~月影の哀歌~
5: 66番




= = = = = = = = = = = = 




第二部 Contorni

コントルニ

久保田潤子  くぼた じゅんこ(ソプラノ、バロックハープ)
阿部 大輔  あべ だいすけ (バス、尺八)
によるユニット。

2017年より、古楽を中心とした器楽奏者、声楽家、俳優による音楽団体「incontro(インコントロ)」のメンバーとして活動を共にする。「incontro」は、様々な「出会い」を生み出す場となることを理念とし、年二回演劇と古楽の融合した定期公演を開催するほか、ワークショップ、2〜5人程度の小編成でのミニコンサートなど、精力的に活動している。
https://www.incontromusic.com
「Contorni」は、incontroのアナグラム(文字の入れ替え)であり、イタリア語で「縁取り、飾り」を意味する。和楽器である尺八とイタリアの古楽器であるハープ、そして歌声で、中世、ルネサンス、バロック音楽から日本の唱歌まで、幅広いレパートリーを持つ。

コントルニプログラム 


すいれき太鼓部、Contorni、いずれのグループも涼風祭に初出演。
涼風祭に吹く新しい風がとても楽しみです。
(清太郎でした)
11 : 00 : 00 | プログラム・内容 | コメント(0) | page top
≪鑑賞日記≫ 響け!金管アンサンブル”ピースフル・ブラス・ジャパン”
2020 / 08 / 18 ( Tue )

8月15日、朝からぐんぐんと気温が上がって避暑地と思えない厳しい暑さになりました。会場に着いたら皆さん扇子や団扇でパタパタ。
今日も沢山のお客様です。

舞台には椅子が五脚。入場してきた面々は、左からトロンボーン 山本靖之さん、ホルン 伊勢久視さん、テューバ 宮西純さん、トランペット海野匡代さん、トランペット中澤孝之さん。それぞれカラフルなシャツに黒パンツ姿で、ラフな印象。

51_5人



軽妙洒脱な グリンカの歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲 から 第一部が始まりました。ヴァイオリン速弾きのオーケストラバージョンでお馴染みですが、これを金管でチャレンジしたそうです。MCは、リーダーの山本さん。喉が渇くので飲みながらで失礼、と水をゴックン。いやはやこう暑くては演奏する方々はさぞ大変だったと思います。

52_山本さん


次はブラームス「一輪のバラが咲きて」
バッハ、ベートーヴェンと共に、ドイツ音楽における「三大B」といわれるヨハネス・ブラームスの、オルガンのための11のコラール前奏曲のなかの一曲。最愛のクララとの思い出が詰まっているかのような可憐な旋律に耳を傾けました。


スコットランド民謡「スコットランドの釣鐘草」では、山本さんのトロンボーンソロが始まる前に、MCを紅一点の海野さんにバトンタッチ。金管楽器は、ピストンやロータリー(バルブ)を押したり離したりすることで息の通る管の長さが長くなったり短くなったりして音程を変えるが、トロンボーンだけは自力で長短を調整する仕組み との解説。
いざ演奏が始まると、目は楽器の管と共に伸び縮みする山本さんの腕に釘付けに。
後ろの四人がゆったりとメロディを奏でるその前で山本さんが昇り降りする多彩な音をパパパパパ…と高速で吹き、それと一緒に腕も伸びたり縮んだり!

53_スコットランド

人間の声の音域に近く荘厳なハーモニーを奏でるトロンボーン。昔は神の楽器として宗教的な場以外では差し控えられたそうですが、大衆的な交響曲に起用したのがベートーヴェン。交響曲「運命」や「田園」「第九」以降、オーケストラに定着したと知りました。

第一部最後の曲は、ロシアの作曲家ヴィクトル・エヴァルドによる「金管五重奏曲第一番」
バルト海に臨む風光明媚な古都サンクトペテルブルクでは、楽匠達の名曲の数々が生まれ世界の楽壇に広まっていったそうです。エヴァルドは金管楽器のみならずチェロの腕前も相当なものだったとか。旋律の重なりは弦楽重奏の趣きを感じさせました。
(ところで。最終楽章の中にどこかで聴いたことがあるメロディが。思い出せず悶々としていたら、帰宅後判明。“わーたしピンクのサウスポー♪” ・・・あ~、スッキリした。)


休憩挟んで第二部はさらにカジュアルな雰囲気に。
20世期アメリカのルーサー・ヘンダーソン編曲「ビバップバッハ」「デキシーバッハ」は、音楽の父バッハも驚くjazzy な変身ぶり。

54_バッハ


続いて、ビートルズを二曲。ホルンソロで“Michele” 、テューバソロで“I wanna hold your hand” どちらも愛しい人を想う歌、しっとりした低音が会場に響きました。

55_ホルン55_チューバ


大食漢で太っていたからFatsの愛称で親しまれたファッツ・ウォーラーの“Black and Blue”
(殴られてアザだらけという意味)は、人種問題がいまだ色濃く残るアメリカを憂いながらトランペットの音色に聴き入りました。

56_デュオ



次のジェリー・ロール・モートン「グランパズ・スペルズ」(おじいちゃんの呪文)は愉快でウキウキ。客席でスウィングしちゃいました。
再びファッツ・ウォーラー“Ain’t misbehavin”(浮気はやめた)は、トランペットのプワ〜という音色に、言い訳オトコの駄目駄目ぶりが表れていました。楽器に被せるお椀みたいなものはカップミュート。ミュートには音色を柔らかくこもらせる効果があります。

57_トランペットプオ



最後はお馴染みデューク・エリントン“Take The A train”(A列車で行こう!)
件の列車はマンハッタン島を南北に走るニューヨーク市地下鉄A系統のこと。ジャズを楽しみにハーレム行くならA列車にお乗りよという意味がこめられているそうです。
東洋人にはちょいと縁遠い世界、裏拍の手拍子は難度高めだったようで…

58_トランペット


しかしながら会場の熱い拍手に応えて、山本さん「第三部ですね(笑)」とまだまだ吹けそうな余裕っぷり。アンコール曲はシュトラウス兄弟合作「ピツィカート・ポルカ」、続いてヨハン・シュラメル 「ウィーンはいつもウィーン」で愉しく幕がおりました。

59_礼


終戦の日、文字通り”ピースフル”な時間を過ごすことができました。
とびっきりの笑顔と肺活量を誇るピースフル・ブラス・ジャパンの皆さん、ありがとうございました。

酷暑もコロナも吹き飛ばせ!ブォ~~!
(森のスズコ)

10 : 43 : 17 | 感想文 | コメント(0) | page top
響け!金管アンサンブル“ピースフル・ブラス・ジャパン”: ご来場の皆さまからのメッセージを紹介します
2020 / 08 / 18 ( Tue )

8月15日(土)は、トランペット2台、ホルン、トロンボーン、チューバで構成する”ピースフル・ブラス・ジャパン”による金管アンサンブルでした。今回もご来場の皆さまから、多くのメッセージを頂きました。

まずは、一番たくさん書いて下さった方:
『この様な状況下にコンサートを開いて下さいまして本当にありがとうございました。やはり生の音に勝るものはない!と思いました。また、金管楽器はカッコいい音だけでなく、暖かな豊かな音色を奏でることができ、古来、教会音楽にも多く登場するのがとてもよく理解できました。また、演奏なさる皆さまのテクニックにも驚きました!あんなに早いワザを繰り出すとは!指も驚きですが、タンギングも大変なのでは?ちぎれそーです!』
ご自身が演奏経験のある方でしょうか。読んで、なるほどと思いました。

楽しめた、という感想を多くいただきました。
『それぞれ違う楽器が人の掛け合いのように聞こえて楽しめた。ホロンソロ素敵でした。全体、元気が出て良かった!』
『クラシックからジャズまで楽しめました。コロナ騒動の中、楽しい音楽会でした。感謝です。』
『金管アンサンブルは初めてで、説明もあって良かった。ジャズ系が楽しかった。』
『バラエティに富んだ構成が素晴らしい演奏でとても楽しめました。それぞれの管楽器のソロが聴けてよかった!』


MCのお話しも楽しめた、というコメントも。
『楽しみやすく(トークが良かった)、それで演奏は超プロ級で中身のある内容で良かった。“音楽で元気に”の一言が心に響きます。“音楽大好き”が伝わってきました。吹奏楽っていいなっ!!!』
『MC(トロンボーンの山本さん)の楽しいトークありがとうございました。海野さん他のメンバーとの掛け合いも面白く、和気あいあいのチームワークの良さに好感を持ちました。ライブ配信視聴者への気配りもNICE!演奏は耳に馴染んだジャズ&ポピュラーがGoodでした。』


当日は、清里でも30度を超える真夏日でした。演奏者を気遣うメッセージも多かったです。
『酷暑の中の演奏、さぞ汗をかかれたことと思います。お疲れさまでした!』
『金管アンサンブルは初めてで音楽の奥の深さを感じます。コロナウィルス、猛暑日と大変な状況の中、それもクーラーも無く、演奏する方々は大変だったと思われます。これからどんな時代になるか分かりませんが、音楽はそして芸術は救いです。』
『特別猛暑の中での演奏だったので、演奏者は息苦しい場面も多くあったと思いますが、聴衆としてはとても楽しめました。本当に御苦労様でした。色々なジャンルの曲の演奏で良かった。』


暑い中、熱い演奏、ありがとうございました。
(清太郎)
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≪プログラムのご案内≫ 8月15日 輝け!金管アンサンブル ”ピースフル・ブラス・ジャパン”
2020 / 08 / 13 ( Thu )
8月15日(土)は金管楽器のサウンドをお届けします。

新型コロナウィルス感染拡大の影響で、演奏活動が全く出来なくなった首都圏の若手音楽家が、満を持して清里に集結。大自然の下、澄んだ青空と爽やかな空気のなかでお届けする高貴でブリリアントな金管楽器のサウンドをお楽しみください。

<第一部>

・グリンカ      歌劇「ルスランとリュドミラ」より序曲
・ブラームス      一輪のバラが咲きて
・スコットランド民謡 スコットランドの釣鐘草  
・.エヴァルド     金管五重奏曲第1番 

----- 休憩  -----

<第二部>

・ルーサー・ヘンダーソン編曲     ビバップバッハ
・ルーサー・ヘンダーソン編曲     デキシーバッハ
・ビートルズ                     Michele 
・ビートルズ                     I wanna hold your hand 
・ファッツ・ウォーラー        Black & Blue
・ジェリー・ロール・モートン     グランパズ・スペルズ 
・ファッツ・ウォーラー                Ain't misbehavin(浮気はやめた)
・デューク・エリントン                Take The A train(A列車で行こう!)

都合によりプログラムが変更になる場合があります。

<出演者プロフィール>
トランペット 中澤 孝之(ナカザワ タカユキ) 

浜松市出身。信愛学園高等学校 音楽科(現 浜松学芸高校)卒業。東京藝術大学卒業。ニューヨーク市マネス音楽院プロフェッショナルスタディーズ科修了。ニューヨークの様々なフリーランスオーケストラやBinghamton philharmonic契約団員として活動。 New World Symphonyの契約団員オーディションに合格。1998年2002年コロラド州アスペン音楽祭に参加。今までに佛坂咲千生、杉木峯夫、関山幸弘、柴田豊一、マーク・グールド(メトロポリタン歌劇場首席)、レイモンド・メイス(アメリカンブラスクインテット、ジュリアード音楽院ブラスチェアマン)、ヴィンセント・ペンツァレッラ(ニューヨークフィルハーモニー)、ロバート・サリバン(ニューヨークフィルハーモニー、シンシナティフィルハーモニー首席)ヨナス・ハリタ(オスロフィルハーモニック)、ブリンニュア・フォットン・コルバルスル(オスロフィルハーモニック首席)、ハラルド・ナエス(京都市交響楽団首席)各氏に師事。現在、洗足学園大学トランペット講師。静岡県静岡市在住。

トランペット 海野 匡代(ウミノ マサヨ)
洗足学園音楽大学卒業。同大学卒業演奏会、第19回ヤマハ新人演奏会に出演。CD「7人のトランペット奏者によるソロ曲集 Vol.2」に参加。在学中から英国式ブラスバンドの研究を始め、研修の為3度の渡英。2005年ジャパン・レディース・ブラスのメンバーとしてイギリス公演参加。2010年オーストラリアン・ナショナル・チャンピオンシップにソリストとして参加。現在、日本各地のバンドで指揮、エキストラ奏者として活動している。トランペットを佛坂咲千生、コルネットをロジャー・ウェブスター各氏に師事。東京ブラスソサエティ団員、ヤマハインストラクター、日本ブラスバンド指導者協会理事、洗足学園音楽大学講師。

ホルン 伊勢 久視(イセ ヒサシ)
北海道釧路市出身。尚美学園短期大学音楽学科卒業、東京コンセルヴァトアール尚美音楽社会研究コース卒業、東京藝術大学音楽学部別科修了、ウィスコンシン州立大学マディソン校音楽学部特別生にて学ぶ。ホルンを、南浩之、大野良雄、澤敦、守山光三、ダグラス・ヒルの各氏に師事。室内楽を松本煕、佐野日出男の両氏に師事。93、95~98、00、01年のアジアユースオーケストラオーディションに合格し、マイロン・ブルーム、ダグラス・ヒル、マーティン・ハックルマン、トーマス・ベーコンの指導を受け、アメリカ、ヨーロッパ、アジア、オーストラリア、各国コンサートツアーに首席で参加。現在、フリーランス奏者としてオーケストラ、室内楽、録音、指導、作曲・編曲の活動をしている。タッドウインドシンフォニー、ザ・ステラナイツグランドオーケストラ、アンサンブルヴェルヴ(主催)、シエル東京室内楽団、T-Horn Style、各ホルン奏者。94年宝塚ベガ音楽コンクール室内楽部門入選。

トロンボーン 山本 靖之(ヤマモト ヤスユキ)
島根県出雲市出身。尚美学園短期大学卒業。東京芸術大学別科修了。尚美学園短期大学卒業演奏会出演。日墺文化連盟主催フィレッシュコンサート2002出演オーディション合格、出演。コンセールヴィヴァン主催第12回新人オーディション合格。2015年3月にソロリサイタルを開催し、好評を博す。トロンボーンを井上順平、故 岡本繁邦、萩谷克己、喜多原和人、栗田雅勝、古賀慎治、各氏に師事。室内楽を喜多原和人氏に師事。現在、オーケストラトリプティーク首席奏者。東邦音楽大学附属高等学校、附属第二高等学校非常勤講師、山梨トロンボーン倶楽部テクニカルアドバイザーを務め、後進の指導にあたる他、東京ウインドシンフォニカ、東京トロンボーンアーティスツ、エレガントトロンボーントリオ各メンバー、K-Sliding主宰としても活躍している。

テューバ 宮西 純(ミヤニシ ジュン)
東京音楽大学を特待生として首席で卒業。同大新人演奏会、ヤマハ新人演奏会、日演連推薦新人演奏会に出演する。 文化庁海外研修生としてフランス国立ヴェルサイユ音楽院最高課程を最優秀で修了。第30回日本管打楽器コンクール第1位、特別賞受賞。 アメリカで行われたITEC国際ソロコンペティションにおいて、アジア人として初優勝。
PMF、アフィニス音楽祭等にも参加する。台湾響を経て現在、神奈川県央管弦楽団テューバ奏者。これまでに、N響、パリ管、ミュンヘンフィル等にも客演する。またソリストとして、新日本フィル、千葉響、仙台フィル等と共演する。さらに、アジア、アメリカでもリサイタルやマスタークラスを開催する。昨年度はバンドジャーナルの誌上レッスンを担当。ソロCD「Evidence」をリリースする。



■日時
8月15日(土) 14時開演 13時30分開場
■場所
清里の森音楽堂 山梨県北杜市高根町清里3545-1
■料金
前売券2,000円、当日券2,300円
※新型コロナウイルス感染防止のため、座席数の半分以下、入場定員は約100席です。
※当日空席がある場合のみ、当日券を販売いたします。
※高校生以下の入場料は、全イベント無料です。
※新型コロナウイルス感染状況により、公演日の直前に中止となる場合がございます。
■主催
清里の森音楽堂実行委員会、(株)清里の森管理公社  
■お問合せ
(株)清里の森管理公社 TEL:0551-48-3151まで
08 : 55 : 32 | プログラム・内容 | コメント(0) | page top
≪鑑賞日記≫ 山口裕之とN響の仲間たち
2020 / 08 / 13 ( Thu )
8月9日、百合の香りのする森の中をいそいそと音楽堂へ。今日も市松模様の満席だ。

涼風祭第4日は正統派クラシック。NHK交響楽団 通称N響のコンサートマスターを長きにわたり務めた山口氐率いる現役N響弦楽奏者達の登場だ。
N響といえば、日本のクラシック界最高レベルの有名なオーケストラ。国内外の名だたる指揮者やソリスト達とも共演し、その演奏は電波に乗って世界中に配信されている。
だからマチネへお出かけするのに、ちょっとだけお洒落をしました。

幕開けのブザーが鳴り、黒服の四人が椅子に着席。
向かって左から1stヴァイオリン 山口裕之さん、2ndヴァイオリン 宇根京子さん、チェロ 山内俊輔さん、ヴィオラ 飛澤浩人さん。

41着席

静かで仄暗い旋律が流れ出した。
第一曲目はベートーヴェン作曲 「弦楽四重奏曲第9番」ハ長調Op.59-3
ラズモフスキー伯爵の依頼によって作曲された3番目の曲なので、ラズモフスキー第3番とも呼ばれている。
(配られたチラシに曲目解説が。和声とか、ソナタ形式とかに自分は疎いので… 曲の詳しい構成についてはご勘弁を。)
私の印象に残ったのは、酒場のベースみたいでカッコ良かった第2楽章のチェロのピチカート。そして力強い4楽章。ヴィオラ→2ndヴァイオリン→チェロ→1stヴァイオリンへ と旋律が受け渡され高揚感が高まっていくところ。(カエルの歌が聴こえてくるよ →カエルの歌…の輪唱のように。) 同じドイツの作曲家メンデルスゾーンの弦楽八重奏曲の中でもずらりと並んだ弦楽器が旋律を次々受け渡す重奏の調べが出てくるのだが、若きメンデルスゾーンもベートーヴェン先生の影響を色濃く受けたに違いない。

ベートーヴェンといえば、音楽室の壁にかかっていた髪ボーボー睨みつけるような肖像画を思い浮かべますね。1770年にドイツ ボンで生まれ1827年ウィーンで没したルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンは、古典派音楽の集大成かつロマン派音楽の先駆者。「楽聖」と呼ばれています。飲んだくれの父親にモーツァルトのような音楽家になれと尻を叩かれて育った彼は、恋をしては恋に破れ、そして耳が聴こえなくなり、さらに甥の親権を得るが甥ともギクシャク…と人生うまくいかないことだらけ。だけど不遇の人生に屈しないで「月光」や「運命」など数々の名曲を後世に遺しました。しなやかなバネのような強さレジリエンスを持った人物だったのだと思います。

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休憩はさんで第二曲目は、バルトーク作曲「弦楽四重奏曲 第3番」Sz.85
バルトーク・ベーラ・ヴィクトル・ヤーノシュは、1881年ハンガリーで生まれ、第二次世界大戦が終わった1945年ニューヨークで亡くなった作曲家、ピアニストで、民俗音楽研究家でもありました。本人は「若い頃の私にとって、美の理想はベートーヴェンだった」と回想していますが、やがて東欧各地の農民音楽を採集し、過去の音楽に目を向けて新しい音楽を生み出そうと独自のスタイルを確立していきました。

44Bartók

不思議な空気感で曲が始まった。宇宙船がどこか見知らぬ場所に不時着したみたいな感じ。ポルタメント(音から音へ滑らかに徐々に音程を変えながら移る演奏技法)の ふに〜という音がユニーク。弓を弦の上でパンパンッと連打した後、ふに〜。パンパン、ふに〜。気だるい雰囲気が漂います。どこか居心地の悪い不協和音は、未来への不安でいっぱいなコロナ時代の心のよう。

45フニー

速いテンポのコーダ(終結部分)は、第一ヴァイオリンの旋律が際立ち、打楽器的なリズムに土の香りを感じました。バルトークの魅力、私達日本人には伝わりにくいかもしれませんが、新しい音楽世界を発見できたら面白いですね。

バルトークの後、再び休憩。最前列の席にいた小さな女の子の姿はいつの間にか無く、
あー演目が難解だもんね…と思ったのでした。
出演者の自己紹介しないのかなぁという期待虚しく?最後の一曲が始まりました。でも、これぞ正統派室内楽。硬めのステージもまた愉し。

今回はメンバー紹介が無かった代わりに、以下私が勝手に想像してみました…
一見生真面目、実はオモシロギャグを連発するお方。ストイックな雰囲気の謎の美女。N響は仮の姿で夜はバーテンダー。不愛想な愛妻家。(順不同)

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…繰り返しますが これ“全部私の妄想”です。Mozart in the Jungleの見過ぎね♪ どうかご容赦を。


第三曲目は、再びベートーヴェン作曲「弦楽四重奏曲 第15番」イ短調 Op.132
(はじめに聴いた)弦楽四重奏曲第9番の19年後に作られた。指折り数えてみたら亡くなる2年前の五十代半ばだ。重い病気のために途中で中断され、快復してから挿入されたという「病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」第3楽章が、とりわけ滋味深く美しい。
ヴァイオリンが奏でる長く均整のとれたボウイングの繰り返しが、祈りのようにも思えました。

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第5楽章は、厳しい中にも光が見え、明日への希望が湧いてくるような力強い結びで締め括られた。途中「エリーゼのために」似の旋律があるように聴こえ、やっぱりベートーヴェンだわ〜と思った私。
緻密で高度なテクニックを要する大曲を顔色ひとつ変えずクールに、しかし情熱的に弾ききった四人の奏者の皆さんへ惜しみない拍手がおくられました。

熱い拍手に応えてのアンコールは、日本のうたメドレー。

47メドレー

夕焼け小焼けの赤とんぼ…アリさんとアリさんがこっつんこ…月夜だ皆出てこいこいこい…ズイズイずっころばし…小さい秋みつけた…もしもし亀よ亀さんよ…赤や黄色の色とりどりに…どんどんヒャララどんヒャララ…そーっと覗いて見てごらん…富士は日本一の山…夕焼け小焼けで日が暮れて… 童心にかえり、静かに暮れていく風景で幕が閉じました。

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今年はベートーヴェン生誕250年。だから、Allベートーヴェン プログラムがあちこちで華やかに開催される2020年の筈だった。よもや、未知の感染症によって世界中の音楽家達が演奏する機会を失うとは。その不意に襲った災難は、病いに苦しんだベートーヴェンの苦境と重なる気がします。
山口さんが「ここで演奏出来たことで、ベートーヴェン先生に恩返しができる」とおっしゃいました。私達も待ち望んでいた室内楽を堪能できました。ありがとうございました。

39ヤマユリ
音楽堂のヤマユリ

(清里のエリーゼおばさん)
03 : 51 : 54 | 感想文 | コメント(0) | page top
≪鑑賞日記≫ 津軽三味線&和太鼓 「力音 りきおん」 演奏会
2020 / 08 / 13 ( Thu )

8月8日、今日は和の音を楽しみに、いざ木陰の中を音楽堂へ。
今回も感染症予防対策をしっかりとって、客席へ。
(山中信人さん曰く綺麗に市松模様にお客さんが並んでる、満席状態でした。)

舞台上には右に三味線の譜面台、左に中ぐらいの黒光りする太鼓と小太鼓にドラ、中央にはどーんと巨大な大太鼓が鎮座。
と、そこに現れた袴姿の三人の武者。

…どん、…どん、と大太鼓が鳴りだすと、ゾワゾワ〜 身体の血が熱くなる。お馴染み、武蔵・小次郎の巌流島の対決をイメージした「武蔵」で幕開けだ。

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続いての一曲「新世界」は、篠笛がしっとりとした音を奏でる。
汗をぬぐいながらの篠笛奏者は、三人の中でいちばん若い塚本隼也さん。鮮やかな青地に水しぶき模様の着物の柄がフレッシュだ。
赤と黒の布地に金糸の情熱的な衣装、キリリとしたお侍は鷹(TAKA) さん。

34篠笛太鼓

そして黒紋付の渋いお侍は、津軽三味線を操る世界一の奏者 山中信人さん。

33山中名人

若手二人も、数々の太鼓打ち比べコンテストで賞を幾つもとっている実力者。聴けば二人は兄弟だとか。

続いての演目は津軽三味線合奏曲。緊張した面持ちの若者二人が三味線のお師匠さんを挟む格好で、三人並んでのお三味線。

35三味線三棹

息の揃った調べが続いた後、二人は師匠を残して舞台のソデへ…。
山中師匠、顔色変えず、楽譜も見ず(当たり前か。) 背筋をピシッと伸ばして三味線を操る姿は鬼気迫る感じ。凄いなあ…ひたすら感服でした。
そんな厳しい?山中師匠も、マイク前での語りがコミカル。津軽三味線とは、青森に伝わる民謡の伴奏なのだと「津軽三下り」を例に唄いながら解説してくれました。

“アー奥山で 小鳥千羽の 鳴く声聞けば アー親を呼ぶ鳥 鳩ばかり”
出だしの「はァ〜」がどれだけ長く美しく唄えるかがミソらしい。
東京音頭が、津軽民謡みたいになると、いつまでたっても「はァ〜〜〜〜」唄も踊りも始まらないんだって。客席は笑いに包まれました。

一部の最後は「ソーラン節」。カネを叩きながら飛び跳ねるジュンヤくんと一緒にお客さんが手揉み手拍子。

37手拍子

力強く素早い太鼓のバチ捌き。金ピカお皿状のシンバルの如き鳴り物の巧みな扱い。
若手二人はなかなかのパフォーマー。会場に漂っていた緊張感はどこぞへか雲散霧消していました。


休憩を挟んで第二部。
二台の太鼓に並んで立った両肌(もろはだ)脱ぎの若者の、筋骨隆々な姿に目が奪われたのは、おばさんだけじゃない筈。パワフルな太鼓のバチ捌きに、兄弟の健康美が躍動していました。
演目は螺旋を意味する「スパイラル」。縄文時代から在ったという太鼓は、欅の木と牛の皮から出来ている。生き物の命をいただいて作られてきた太鼓には、様々な時代の人々の思いが詰まっている、時間が循環し流れていく様を表した、と解説してくれたのはお兄さんの鷹さんでした。

38スパイラル

太鼓に続いては、粋な着流し姿の山中さんが銀色に光る三味線を持って登場。
「さくら」は、懐かしい「さくらさくら」のメロディーから始まりました。蕾が開き始め、満開になり、やがてハラハラと散っていく様。コロナで花見どころではなかったこの春でしたが、三味線マジックが見事な桜を私達に観せてくれました。

38さくらa

さくらの余韻に浸った後は、一人ずつの独奏。
まずは隼也さんの担ぎ太鼓。
鮮やかなブルーの太鼓(重そう!)を太いベルトで身体に斜めがけした状態で、華やかに舞うように打つ。圧巻は、左手に持った撥を太鼓の右面、左面、交互に素早く打つテクニック。右手の撥も勿論動き続けていて、あまりの速さに、私には空中の左手の軌跡がX(バッテン)のように見えました。

37ジュンヤ

続いての独奏は、鷹さんの大太鼓。
大太鼓にこれから始めるよ、いいかい?と語りかけるように、まずはゆっくりと素手、
拳で打つ、掌で打つ。それからおもむろに撥を手に、二打。それからはバチバチ、ドンドン、ズンズン。炸裂したエネルギーが、床を伝わって私の足元までやってくるのを感じました。
奏者は、客席に背を向け大太鼓に対峙、まるで熱い祈りを捧げているようにも見えたのでした。

38大太鼓

独奏トリは、山中信人さんの「津軽じょんがら節」。
弦を撥ではじくだけじゃなく、撥の先で下からすくい上げたり、左手の指で弦をはじいたり。弦を抑える左手を滑らせ、棹の上方に動いたり下方に動いたり。左手の指をわずかに上下に動かすビブラートも秀逸。津軽三味線の超絶技巧と多彩な表現力に魅了されました。

38じょんがら

最終演目は「イナズマゴロピカ」
三味線の奏でる七夕さまのメロディーから始まり… 徐々に変調、テンポアップ。
来たぞ来たぞ〜
ゴロゴロ ピカピカ はっ(止まる) ゴロゴロ ピカピカ はっ(止まる)
ゴロゴロ ピカピカ 小太鼓トコトコトコトコ 大太鼓ズン!
と…まぁ凄い驟雨となりました!服はずぶ濡れ、気分は最高!

39かみなり

三回叩いて一回休みの、お約束の手拍子に応えてアンコールは「花笠音頭」。
あー楽しかった!みんな笑顔笑顔の御開きとなりました。

39はながさ

38花笠音頭

三人のお侍方、久々のステージで筋肉痛にはなりませんでしたか?
自然がいっぱい、鹿もいっぱいの清里に、また演奏にいらしてくださいね。

(清の涼こでした)
00 : 15 : 35 | 感想文 | コメント(0) | page top
山口裕之とN響の仲間たち: ご来場の皆さまからのメッセージを紹介します
2020 / 08 / 12 ( Wed )

8月9日(日)は山口裕之とN今日の仲間たちの弦楽四重奏コンサートでした。
満員札止めの盛況でした。ご来場の皆さま、ネット配信をご覧になった皆様にお礼申し上げます。

今回も多くの方から、演奏などについてメッセージをお寄せいただきました。

今回は、特にプログラム構成(選曲)についていろいろなご意見をいただきました。
プログラムは、以下の3曲でした。
1.ベートーヴェン作曲 弦楽四重奏曲第9番ハ長調 Op.59-3
2.バルトーク作曲 弦楽四重奏曲第3番 Sz.85
3.ベートーヴェン作曲 弦楽四重奏曲第15番 Op.132

まずは、全体的に良かったという感想から。
『今年4月よりN響定期演奏会が中止になり残念でしたので、楽しみに聴きにきました。さすが技術に裏打ちされた確かな演奏で、とても良かったです。バルトークは初めて聴く曲でしたが引き込まれました。ベートーヴェン15番第3楽章は涙が出るほど美しく素晴らしかった。清里に来て下さって、ありがとうございました。』
『久し振りの弦楽四重奏、とても良かったです。本格的なクラシックでした。奏者の指使いが客席からよく見えて素晴らしかったです。』
『選曲がかなり高度でしたが、なかなか聴く機会がない曲で良かったです。又、来年も来て下さい。』
『マニアックな演目でしたが、充実した音楽鑑賞タイムとなりました。大ベートーヴェン先生にも感謝、大バルトーク先生にも感謝。』
『三十数年前に弦楽四重奏の演奏会に初めて足を運び、それ以来オーケストラと違う魅力を感じています。東京での演奏会とは違った間近でそして風を感じながら最高でした。ありがとうございました。アンコール曲も、最高でした。』

ベートーヴェン弦楽四重奏曲第15番は多くの方に好評でした。
『最後のベートーヴェン15番は今のコロナ禍を忘れさせてくれる演奏でした。』
『バルトークの曲、たいへん良かった。ベートーヴェン15番の第3楽章感動しました。』
『ベートーヴェン9番は4つの楽器それぞれの持ち味を楽しめた。バルトーク3番は難解で余り心に響いてこなかった。ベートーヴェン15番が3つの中で一番肌合いが良かった。アンコール曲の一つ一つに懐かしさがにじみました。』


バルトーク、イチ押しの方:
『ベートーヴェンもいいけど、バルトーク面白かった!』
『一人ひとりの音がとても美しく、素晴らしかった。いろいろな技法(バルトーク)をみせていただき、興味深く、楽しかった。』
『感動しました。2曲目(バルトーク)はちょっと不思議なサスペンス的な感じ。とてもとてもとても美しかったです。』
『バルトークの曲ははじめて聴く曲でしたが、各楽器の特色が強調されていて繰り返される調べが心地よく、体にしみこむ感じでした。もう一度聴けばもっとチェロが楽しめるかも。アンコールメドレーが高齢者の多い清里にふさわしかった。』
『生で聴けて嬉しく思いました。バルトーク最高でした。あっという間に演奏が終わったという感じでした。』
『毛嫌いしていたバルトーク、初めて面白く楽しみました。アンコールのお洒落な編曲素敵です。』


一方で、こんな感想も。
『選曲が楽しくなかった。』
『3曲目を除き、選曲が堅い感じがする。』
『ベートーヴェンは良かったが、バルトークはきつかった。ヴィヴァルディなどの軽い曲が良い。』
『後半のベートーヴェンは感動しました。演奏は上手いと思いますが、もう少し室内楽でもポピュラーなもの、例えばブラームスの弦楽五重奏曲のように。ヴァイオリン独奏も間に入れては如何。』
『N響のカムバックは歓迎するが、全体に固すぎ。もう少しポピュラーなものを入れてほしい。』


ご覧のとおり、バルトークの曲は好き嫌いが分かれました。
面白かったのは、こういう結果を予見した方がいらっしゃったこと『もっとポピュラーな曲をやってほしいという意見があるだろうけど、こういうのをもっと聴きたい。』

曲の解説などトークの有無についても正反対のコメントがありました。
『音楽は久しぶりに生が聴けて良かったが、何も語らないスタートや中盤、寂しいな。こんな時代だから人の声が欲しい。』
『これほど高質で本格的な弦楽四重奏の演奏会が、清里涼風祭で実現できたことを喜びたい。人語を排したそのストイックなステージもコロナ時代の新たな形式であるに違いない。』

皆さま、多くの率直なご意見をありがとうございました。
涼風祭が全体としてバランスが程良く、より多くの方にご満足いただけるよう工夫を続けたいと思います。

(清太郎でした)

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