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加耒 徹 バリトンリサイタル - 8月27日 -
2022 / 12 / 30 ( Fri )
(12月30日の掲載となってしまいました。申し訳ございません・・・。 ブログ係り)

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夏休みも終わりに近づき、涼風祭も残り2日となりました。
今回は、新進気鋭のバリトン歌手加耒徹(かく とおる)さん、作曲家・ピアニストの松岡あさひさんをお迎えしてのバリトンリサイタル 〜大自然を感じる世界の歌曲〜 です。

第一部は、生涯に600もの歌曲を残した歌曲王シューベルトから始まりました。
「鱒」は、ピアノ五重奏が有名だけど、ドイツ語で聴く男性の声もいいなぁ。歌詞は、ズル賢い漁師が罠を使って魚を釣り上げるさまを歌ったもので「男はこうして女をたぶらかすから、お嬢さんお気をつけて」という寓話なんだとか!
「野バラ」ワタシが小さかった頃、ご機嫌な父がよく口ずさんでいたっけ。懐かしい一曲。
「夜と夢」仄暗い静かな森を連想しながら美しいメロディに耳を傾けました。
「魔王」はゲーテの怖い詩。歌い手は、[子ども][父][魔王][語り]の一人四役を歌い分けます。伴奏のピアノも三連符最速連打のド迫力!

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標高千数百メートルの高地で、レガートを保つために高度なブレスコントロールを要する「夜と夢」や激しい「魔王」を歌うのは、そんじょそこらの歌手にはできない技でしょう。
徹さん、ホントは15分くらい休みたいところを休み無し!で、次へ。

5曲目からは英語で。
近代イギリスの作曲家クィルター「愛の哲学」は、軽やかなピアノ伴奏にのせたラヴソング。

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続いて、
民謡の採集や教会音楽の研究をしていたというヴォーン・ウィリアムズ「菩提樹の原」
広い空、草を食む羊、石垣の続く牧歌的な田園風景が目に浮かびます。

7曲目は、ブリテン編曲「グリーンスリーブス」
シェイクスピアの劇中でも言及される古いイングランド民謡。
中世・ルネッサンス期に「緑」は不倫の意味があったそう。んー意味深だ…
第一部おしまいは、アイルランドのメロディ「ロンドンデリーの歌」に歌詞をつけ1913年に発表された「ダニーボーイ」。
出兵する子を想う親の切ない心境が、今も戦争が続く世界事情に重なって胸に迫りました。

お疲れ様で、やっと休憩


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第二部は日本の歌から始まりました。

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山田耕筰「鐘が鳴ります」
鐘が鳴ります かやの木山に 山は寒空 遠茜
ひとつ星さえちらつくものを なぜに チラリとも 出て見えぬ
詩人北原白秋の何とも心寂しい片思いの歌でした。

瀧廉太郎「荒城の月」
音楽の教科書に載っていますね、七五調の歌詞に西洋音楽の旋律。
歌詞1、2、4番バージョンで歌ってくださいました。

日本の歌3曲目は、宮沢賢治(松岡あさひ編曲)「星めぐりの歌」
あかいめだまのさそり ひろげた鷲のつばさ あをいめだまの子いぬ ひかりのへびのとぐろ…♪

銀河に自分の想いを投影して、言葉で紡ぐのみならず親しみやすい旋律にのせた宮沢賢治。それをさらに、満天の星がチカチカと瞬いているように編曲なさった松岡あさひさんの才能にも驚かされました。

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マイクを持ったあさひさん、天文に詳しい弟さんとまた小淵沢に来たいと話してくださいました。徹さんは「ソドレミ♪」で始まる曲が沢山ありますねと語ってくださり会場の皆もホ〜…感心しきりでした。


雰囲気一新、次は映画音楽『ティファニーで朝食を』より「ムーンリバー」
スクリーンの中のオードリー・ヘプバーン綺麗だったなぁ…
麗しい徹青年のバリトンは爽やかな色気があって〜ハートにぐっときました♡

ディズニー映画『わんわん物語』より「ベラ・ノッテ」
Berra Notteはイタリア語で素敵な夜という意味だそう。レディとトランプ(ワンチャン)がパスタを食べながらキスするシーン、有名ですね。
映画音楽二曲は、あさひさんのお洒落なジャズっぽい即興ピアノ伴奏が際立っていました。

続いてフランスのロマン派作曲家フォーレ「月の光」
月の光や噴水が描かれた一枚の絵をみるように聴いてくださいと徹さん。冒頭のメロディに耳を傾けていると、メヌエットの繰り返しの小節の途中から前触れなく歌が始まり、歌とピアノが絶妙に絡み合い、夢幻的で甘美な世界が現れたのでした。

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ワーグナー 歌劇『タンホイザー』より「夕星(ゆうづつ)の歌」
オペラとは、登場人物の台詞を全て歌で表現しストーリーが進行する、ドラマと音楽の融合芸術。豪華絢爛な舞台に立つ歌手の方々のお姿をリアルに拝見したいものです!

最後は、ミュージカル『レ・ミゼラブル』より「stars」
ジャンバルジャンを追い続けた刑事ジャベールが、いつか必ず奴を捕まえてやると星に誓いを立てるシーン 。
太く長く張りと艶のある声量に、会場にいた全ての人が驚きをもって聴き入っておりました。もう、素晴らしすぎてワタシは感動の鼻水が。

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拍手拍手に応えてのアンコールは、「テントウムシ」
松岡あさひさんのお父上、貴史さん作曲。なんとお母上も作曲家でいらっしゃる。五線譜が飛び交うお家なのねとびっくり。

お花畑の中を テクテクテク♪♪♪ テンテンテン♪♪♪
みんなで春の大空をブンブンブン♪♪♪テンテンテン♪♪♪
疲れたらちょっと休憩 スウスウスウ…

可愛らしい曲でした🎶

アンコールもう一曲は、イタリアのカンツォーネ「オー・ソレ・ミオ」
O sole mio は、私の太陽 という意味。
陽光眩しいナポリの風景を感じながら明るく幕が閉じました。

加耒徹さん、松岡あさひさん、
最高に素晴らしい演奏を、ありがとうございました。
八ヶ岳山麓の星空を観に、また是非ともお運びください。

森のスズコ
追っかけたいわ♡

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