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<<鑑賞日記>> 七変化 笑いと感動の落語会 春風亭昇吉独宴会
2023 / 08 / 03 ( Thu )

今年も、涼風祭の熱血サポーター「森のスズコさん」の熱い鑑賞日記をお届けします。
お楽しみください。
<ブログ係り>

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始まりました、涼風祭。コロナはあれど厳戒態勢ではなくなりました。
酷暑を避け涼を求めて、今年も大勢の方々が足を運んでくださるでしょう♫

「ドンドンドンと来い♬」と鳴る太鼓の音を聴きながら会場に入ると、舞台上には「落語」の文字の提灯と赤提灯、バックに金屏風、高座には座布団が。窓の外は濃い緑、祭初日は森寄席、春風亭昇吉さん「落語」独演会です。

涼風祭実行委員長 清里の森管理センター中込所長のご挨拶の後、
舞台袖から現れたのは、背の高いシュッとした若者、おとうと弟子の春風亭昇咲(しょうさく)さん。
小学生に落語を披露した後のストレート過ぎる感想文のエピソード 『もう少しで笑いそうになりました』にお客さんのスイッチが入ります。

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演目はお馴染み「皿屋敷」。真夏に相応しくヒヤリとする幽霊登場。
だけど、アレ?怖いはずの美人のお菊さん、徐々に人気者に、コミカルに変容していくじゃあないの。
「井戸さえあれば足代いらない」「疲れちゃって死んじゃいそう」
終いには、一枚、二枚…さらには(皿には?これを聴いたら呪われて命を落とすという)九枚を超えて、十八枚。
これで「オシマイ(オシ枚)」「明日休むんだよ」。二日間分のお皿を数えたから明日はお休みするってこと? オチがわかってちょいと嬉しい私。

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昇咲さん、ますます精進なさってください。

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前座さんの次に、待ってました、真打春風亭昇吉さん登場です。
水色の着物は人気番組プレバトでお馴染み、落語を観ない私も、俳句を詠んでいらっしゃるお姿はテレビで拝見しておりました。

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「やかん」
なんでも知ってる先生気取りの隠居さんの言うことの可笑しいこと。
魚の鰯は岩にシィーするからイワシ。鮪は群れをなして真っ黒で泳ぐからマグロ。鯨は九時に起きるからクジラ。平目は平たいところに目があるからヒラメ。じゃあ鰈は?「あれはヒラメの家来で家令をしてるからカレイ。」聴いてる私のアタマは漢字変換大忙し。
で、ヤカンは?「川中島の合戦の折、夜討を受けた武者が兜の代わりに水沸かしを被った。そこに敵の矢が当たってカーン!矢、カーン!ヤカ〜ン!(笑)

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「たがや」
花火見物で賑わう両国橋の上、花火が打ち上がる度に「玉屋ぁ〜」の声。
そこに通りかかった桶の「たが」屋さん、見物人に押されたはずみに、たがが外れ、馬に乗った武士の笠を跳ね飛ばしてしまう。平謝りするが、怒った武士は手打ちにするという。こりゃ大変、切るなら切れと開き直るたが屋さん。そこからちゃんちゃんバラバラ始まって…武士の槍の先はたが屋に切り落とされ、やりくりつかなくなった武士は槍を放り出す。コレがやりっぱなしという奴だ。そして武士の首が天高くスポーン!
群衆「たがやぁ〜」。おぉシュールな結末。

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ここで休憩。
着替えて登場した昇吉さんは貫禄十分。
引き続き古典落語を聴かせて頂きます。

「中村仲蔵」
江戸時代の名優、身分制度の厳しい梨園の世界で、底辺の「稲荷町」から「名題」まで出世したという伝説の役者、中村仲蔵。

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臨む大舞台は「仮名手本忠臣蔵」。しかし、仲蔵に与えられたのは五段目の斧定九郎というむさ苦しい山賊役。山中で追い剥ぎを行った後、猟師に撃たれてあっけなく死ぬという地味〜な役。見どころの無い五段目、お客さんはもぐもぐタイムしながら観るから弁当幕なんて呼ばれてる。

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これは嫌がらせ?仲蔵が愚痴っていると、妻のお岸に「座頭の考えがあってたった一役ふってきたのでは?今までにない定九郎を見せておくれよ」と励まされる。…うぅ良い女房。

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妙見様にお参りを始める仲蔵。ある日夕立にあって蕎麦屋に駆け込み、ひとりの浪人者に出会う。破れ傘のためにびしょ濡れ、黒羽の紋付きに帯を締め、履物を帯に挟み込んでいる。濡れた髪から雫を落とし袂を絞るその所作の麗しいこと。コレだと感じた仲蔵。その侍の風体を手本に役作りに取り掛かった。そして本番当日。これまで誰も見た事のない定九郎が現れ、水飛沫を飛ばし、目を剥き血糊を流す迫真の演技に、お客さんは感嘆のあまり弁当を手にしたまま唸るのみ。うーむ。

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客から声が掛からず拍手も起きない…悪落ちしたな、しくじった!もう江戸にはいられないと気落ちした仲蔵は妻にも別れを告げ上方へ行こうとする。

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しかし旅支度のまま師匠の元へ向かうと、意外にも大絶賛されてしまう。
「師匠の俺まで鼻が高いや。さあ、祝いの酒だ、肴だ。お岸、もう五段目に弁当は要らねえ。」
(万雷の拍手喝采で幕が閉じました。)


さて
このお方は架空の人物かと思いきや、江戸時代中期に実在し千両役者にまで上り詰めた歌舞伎役者さんだと知りました。
孤児として生まれ、中村座の唄歌いに引き取られことから歌舞伎界に入り、踊りの才能を見込まれ子役で舞台に立ったものの一度は廃業。しかし役者への情熱から復帰。下積み時代は苦労の連続、イジメに耐えきれず身投げしたこともあったとか。それでも稽古に励む姿が四代目市川團十郎の目に留まり…手にした役が「仮名手本忠臣蔵」五段目の斧定九郎。痛烈な悪役がヒットして、ここから中村仲蔵と改名し徐々に人気を上げていったのだそうです。大変な努力家だったのですね。

それにしても、座布団の上の春風亭昇吉さんの鬼気迫る姿、張りのある太い声、コロコロ変わる表情に圧倒されました。道具は手拭いと扇子と羽織りくらいしかないのに、まさに七変化。感嘆しました。うーむ。


不肖スズコ、落語は全く頓珍漢。
鑑賞日記を書くにあたり、初心者向け落語入門サイトのお世話になりました。間違いや勘違いがあったらご勘弁を。
座布団一枚?二枚?これにてオシマイ。

涼風が こう吹くから スズ・コ ー

<ブログ係り 清史郎>
スズ・コーは、涼・子~~!とゆっくり長く読むらしい。異次元のひねりはちょっと難しいですね。
10 : 30 : 58 | 感想文 | コメント(0) | page top
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