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<<鑑賞日記>> 8月26日 大森たつし(マリンバ)&柗井拓野(サックス)コンサート
2023 / 08 / 29 ( Tue )

涼風祭最終日、お迎えするのはマリンバの大森たつしさん、サクソフォン柗井拓野さん。
ステージ後半はピアノ 細田詩織さんも賛助出演なさいます。

前半
男子二人が颯爽と登場、演奏が始まりました。
ヘンデル「パッサカリア」

sソプラノ吹き


「パッサカリア」とは、変奏曲の形式をとっている音楽様式のことで、元はヘンデルの「ハープシコード組曲」をノルウェーのハルヴォルセンが弦楽器用に編曲したもの。
(かつてワタシの娘がチェロ弾きの親友とヴァイオリンで弾いていたのを思い出し、懐かしさのあまり涙腺が緩む事態に。)
超絶技巧を組み込んだ旋律は、マリンバとサックスでも同様、時にダイナミック、時に繊細。心の襞に音色が染み込んでくるようでした。

s大森トーク最初


たつしさん「打楽器と管楽器というちょっと珍しい楽器の組み合わせを楽しんで頂きます、まずは各々無伴奏曲、サクソフォンから。」

※サックスはキラキラ金色なのに木管楽器。
トランペットやホルンは息を吹いたとき唇を振動させて音を出すので金管楽器に分類され、クラリネットやサックスはリードと呼ばれる薄片を息で震わせて音を出す木管楽器に分類されるのだそうです。
拓野さんは、アルトサックスとソプラノサックスを吹き分けます。

sアルト持ってトーク


ボノー作曲「ワルツ形式によるカプリス」
20世紀フランスのポール・ボノーは管弦楽曲の他、バレエ音楽、映画音楽なども作曲。ナルホド、軽妙洒脱なパリの雰囲気がそこはかとなく漂ってくるようです。
一、二、三と踊りたくなる三拍子、だけど「カプリス」(奇想曲)というタイトル通りテンポが速くなったり遅くなったり気まぐれな曲。気兼ねのいらない独りの演奏、拓野さん、今日はどんな気分で吹いてくださったでしょう?


続いては、マリンバ独奏です。
松村崇継「ランド」
悠久の大地、地球の青い海をイメージしました。水の中を深く深く潜っていって、水の泡がぷくぷくと昇っていく様をじっと見つめているような。

マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
イタリアのヴェルガの小説を元にしたオペラの一篇。三角関係のもつれから起きる決闘や殺人が描かれた劇!なのにその幕間に演奏される曲は、えもいわれぬ美しさ。細かい連打は転がり続ける粒のような音を滑らかに繋げます。

sマリンバマレットクロス

sマリンバマレットクロス3


マリンバに目をやると端から端まで巧みに四本のマレット(=先端に球体がついたバチ)を操るたつしさんの姿がありました。楽器の下に見える足捌きも滑らかで無駄がなく。細く絞ったズボンの裾と黒い靴は演奏用でしょうか。美しい身体の動きは、美しい音色と相関関係にあるのだなぁと思います。

前半最後は
前田真吾 「コンチェルティーノ」

マリンバ&サックスという組み合わせの曲が殆ど無いので、委嘱して作ってもらったという小規模のコンチェルト。転調したり、飛び跳ねるような音が出てきたり。サックスの長いメロディの下で奏でるマリンバの「ぶんちゃかちゃっちゃ、ぶんちゃかちゃっちゃ」という軽快なリズムは「すっとこどっこい、すっとこどっこい」にも聴こえて(笑)地元のお祭りで、お楽しみ抽選会が始まるよ〜さてさて何が当たるかな!?みたいな高揚感がありました。みんなの耳にはどんな風に聞こえたかな?

s二人演奏背景緑



休憩挟んで後半は、細田詩織さんが登場、三人の演奏で。
オーケストラの役割を担うピアノが加わり音に厚みがぐっと増しますね。

s三人トーク大森 (2)

s細田おほほ


ブラームス「ハンガリアン舞曲第5番」

この曲、8月6日鈴木舞さん小林侑奈さんの回のアンコールでも演奏されました。遠い記憶を辿るとワタシも小学校の音楽の時間にアコーディオンで弾いたっけ。ブラームスもきっとビックリのマリンバ&サックスバージョン、スピード感とワクワク感は全く変わりません。

たつしさんによると、今日の出演者の共通点は 洗足学園大学で学んでいた こと。(私事でスミマセン、私の姉も卒業生。そして実家ご近所にはたつしさんと打楽器同窓の方がお住まいです。なんだか嬉しい学校繋がり。) 同大学は、アニメ声優やバレエ、電子音楽を学ぶ方もいらっしゃるカジュアルな学校だそう。「のだめカンタービレ」のロケ地にもなっていましたね🎶

後半二曲目は、がらり雰囲気変わって
ロルフ・ラヴランド「You raise me up」

s三人演奏真剣


「You raise me up」という表現は旧約聖書の詩編にも出てくる言葉ですが、アイルランド民謡に似たメロディに耳を傾けながら、歩いてきた道程をしみじみ振り返るような気持ちになりました。
ゆったりとしたアルトサックスに続いてマリンバがメロディを奏で、後半はソプラノサックスで。転調したピアノも素敵でした。

モンティ「チャルダッシュ」
酒場で一杯ひっかけて踊りたくなる「チャルダッシュ」はハンガリーの民族音楽、19世紀ヨーロッパで大流行した何度聴いても愉しい曲。
ピアノの詩織さんも笑顔でノリノリ。

s柗井演奏アルト2


テンポアップするたび、たつしさんはマリンバに掛けてあるドラえもんのポケットみたいな袋?から、違う色のマレットを取り出していました。ヘッドの素材や硬度によって音色も変わるというマレット、いったい何本お持ちなのか聞いてみたいな。

今日最後の曲は、松村牧亜「IRONY」
東京藝大とジュリアード音楽院で作曲を学び、ニューヨークを拠点に映画やテレビ等でも活躍している作曲家による マリンバ、ピアノ、ヴァイオリン用の曲を、サックス用にアレンジして初の演奏。
ironyというタイトルを聴いて、皮肉? 否、私は様々な色に染まる大都会の景色を想像しました。夕陽の差す高層ビル群、雑踏の中を行き交う人々の髪の色、肌の色… サックスの音色が時折尺八のように聴こえました。

s三人演奏


拍手喝采、熱くせっかちなお客さん?のアンコールに応えて
アンコールは、久石譲「Summer」
清里の森の楽しかった夏のシーンを思い出しながら聴きました。

s三人終わって笑顔


たつしさん、拓野さん、詩織さん、素敵な時間をありがとうございました。
是非またコンサートでお目にかかりましょう。

〜〜〜〜〜〜〜

今年の涼風祭も無事終わりました。
実行委員の方々、清里の森管理センターの方々、支えてくださった全ての皆様に感謝申し上げます。
これからも応援しましょう、涼風祭。

涼風祭全回鑑賞のご褒美に高原野菜をいただきました(^。^)
心もお腹も幸せいっぱい
森のスズコでした。
09 : 06 : 56 | 感想文 | コメント(2) | page top
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コメント
--思いもよらない演奏--

まさかマリンバとサックスでモンティのチャルダッシュとYou raise me upが聞けるとは思いもよらない演奏! とは言えもしかしたらアンコールで弾いてきたら やったね というところだった。あのジプシーの曲は大いに民衆に受けて、城主が禁止命令を出したといういわくつきの曲でもあった、ヴァイオリンの名曲。You raise me upはyoutubeにいっぱい溢れている聴いていて感銘を受けることができる大好きな曲!
by: サラトガ * 2023/09/09 17:32 * URL [ 編集 ] | page top
----サラトガさん、投稿ありがとうございました----

涼風祭に毎回ご来場いただき、ありがとうございます。
マリンバ&サックスの曲目が、サラトガさんの趣味にマッチして良かったです。
来年以降の涼風祭のプログラムについても、ご希望などありましたら、是非お聞かせください。
by: 清史郎(管理人) * 2023/09/11 11:59 * URL [ 編集 ] | page top
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