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<<鑑賞日記>> 七変化 笑いと感動の落語会 春風亭昇吉独宴会
2023 / 08 / 03 ( Thu )

今年も、涼風祭の熱血サポーター「森のスズコさん」の熱い鑑賞日記をお届けします。
お楽しみください。
<ブログ係り>

***** ***** ***** *****

始まりました、涼風祭。コロナはあれど厳戒態勢ではなくなりました。
酷暑を避け涼を求めて、今年も大勢の方々が足を運んでくださるでしょう♫

「ドンドンドンと来い♬」と鳴る太鼓の音を聴きながら会場に入ると、舞台上には「落語」の文字の提灯と赤提灯、バックに金屏風、高座には座布団が。窓の外は濃い緑、祭初日は森寄席、春風亭昇吉さん「落語」独演会です。

涼風祭実行委員長 清里の森管理センター中込所長のご挨拶の後、
舞台袖から現れたのは、背の高いシュッとした若者、おとうと弟子の春風亭昇咲(しょうさく)さん。
小学生に落語を披露した後のストレート過ぎる感想文のエピソード 『もう少しで笑いそうになりました』にお客さんのスイッチが入ります。

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演目はお馴染み「皿屋敷」。真夏に相応しくヒヤリとする幽霊登場。
だけど、アレ?怖いはずの美人のお菊さん、徐々に人気者に、コミカルに変容していくじゃあないの。
「井戸さえあれば足代いらない」「疲れちゃって死んじゃいそう」
終いには、一枚、二枚…さらには(皿には?これを聴いたら呪われて命を落とすという)九枚を超えて、十八枚。
これで「オシマイ(オシ枚)」「明日休むんだよ」。二日間分のお皿を数えたから明日はお休みするってこと? オチがわかってちょいと嬉しい私。

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昇咲さん、ますます精進なさってください。

~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~

前座さんの次に、待ってました、真打春風亭昇吉さん登場です。
水色の着物は人気番組プレバトでお馴染み、落語を観ない私も、俳句を詠んでいらっしゃるお姿はテレビで拝見しておりました。

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「やかん」
なんでも知ってる先生気取りの隠居さんの言うことの可笑しいこと。
魚の鰯は岩にシィーするからイワシ。鮪は群れをなして真っ黒で泳ぐからマグロ。鯨は九時に起きるからクジラ。平目は平たいところに目があるからヒラメ。じゃあ鰈は?「あれはヒラメの家来で家令をしてるからカレイ。」聴いてる私のアタマは漢字変換大忙し。
で、ヤカンは?「川中島の合戦の折、夜討を受けた武者が兜の代わりに水沸かしを被った。そこに敵の矢が当たってカーン!矢、カーン!ヤカ〜ン!(笑)

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「たがや」
花火見物で賑わう両国橋の上、花火が打ち上がる度に「玉屋ぁ〜」の声。
そこに通りかかった桶の「たが」屋さん、見物人に押されたはずみに、たがが外れ、馬に乗った武士の笠を跳ね飛ばしてしまう。平謝りするが、怒った武士は手打ちにするという。こりゃ大変、切るなら切れと開き直るたが屋さん。そこからちゃんちゃんバラバラ始まって…武士の槍の先はたが屋に切り落とされ、やりくりつかなくなった武士は槍を放り出す。コレがやりっぱなしという奴だ。そして武士の首が天高くスポーン!
群衆「たがやぁ〜」。おぉシュールな結末。

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ここで休憩。
着替えて登場した昇吉さんは貫禄十分。
引き続き古典落語を聴かせて頂きます。

「中村仲蔵」
江戸時代の名優、身分制度の厳しい梨園の世界で、底辺の「稲荷町」から「名題」まで出世したという伝説の役者、中村仲蔵。

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臨む大舞台は「仮名手本忠臣蔵」。しかし、仲蔵に与えられたのは五段目の斧定九郎というむさ苦しい山賊役。山中で追い剥ぎを行った後、猟師に撃たれてあっけなく死ぬという地味〜な役。見どころの無い五段目、お客さんはもぐもぐタイムしながら観るから弁当幕なんて呼ばれてる。

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これは嫌がらせ?仲蔵が愚痴っていると、妻のお岸に「座頭の考えがあってたった一役ふってきたのでは?今までにない定九郎を見せておくれよ」と励まされる。…うぅ良い女房。

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妙見様にお参りを始める仲蔵。ある日夕立にあって蕎麦屋に駆け込み、ひとりの浪人者に出会う。破れ傘のためにびしょ濡れ、黒羽の紋付きに帯を締め、履物を帯に挟み込んでいる。濡れた髪から雫を落とし袂を絞るその所作の麗しいこと。コレだと感じた仲蔵。その侍の風体を手本に役作りに取り掛かった。そして本番当日。これまで誰も見た事のない定九郎が現れ、水飛沫を飛ばし、目を剥き血糊を流す迫真の演技に、お客さんは感嘆のあまり弁当を手にしたまま唸るのみ。うーむ。

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客から声が掛からず拍手も起きない…悪落ちしたな、しくじった!もう江戸にはいられないと気落ちした仲蔵は妻にも別れを告げ上方へ行こうとする。

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しかし旅支度のまま師匠の元へ向かうと、意外にも大絶賛されてしまう。
「師匠の俺まで鼻が高いや。さあ、祝いの酒だ、肴だ。お岸、もう五段目に弁当は要らねえ。」
(万雷の拍手喝采で幕が閉じました。)


さて
このお方は架空の人物かと思いきや、江戸時代中期に実在し千両役者にまで上り詰めた歌舞伎役者さんだと知りました。
孤児として生まれ、中村座の唄歌いに引き取られことから歌舞伎界に入り、踊りの才能を見込まれ子役で舞台に立ったものの一度は廃業。しかし役者への情熱から復帰。下積み時代は苦労の連続、イジメに耐えきれず身投げしたこともあったとか。それでも稽古に励む姿が四代目市川團十郎の目に留まり…手にした役が「仮名手本忠臣蔵」五段目の斧定九郎。痛烈な悪役がヒットして、ここから中村仲蔵と改名し徐々に人気を上げていったのだそうです。大変な努力家だったのですね。

それにしても、座布団の上の春風亭昇吉さんの鬼気迫る姿、張りのある太い声、コロコロ変わる表情に圧倒されました。道具は手拭いと扇子と羽織りくらいしかないのに、まさに七変化。感嘆しました。うーむ。


不肖スズコ、落語は全く頓珍漢。
鑑賞日記を書くにあたり、初心者向け落語入門サイトのお世話になりました。間違いや勘違いがあったらご勘弁を。
座布団一枚?二枚?これにてオシマイ。

涼風が こう吹くから スズ・コ ー

<ブログ係り 清史郎>
スズ・コーは、涼・子~~!とゆっくり長く読むらしい。異次元のひねりはちょっと難しいですね。
10 : 30 : 58 | 感想文 | コメント(0) | page top
<プログラム>8月6日は、実力はデュオが贈る珠玉のアンサンブル 鈴木愛(ヴァイオリン)・小林侑奈(ピアノ)
2023 / 08 / 02 ( Wed )

2023年涼風祭 第4弾は、ヴァイオリンとピアノのデュオです。
過去、何度もご出演いただき、今や涼風祭の常連にもなった鈴木愛さんと小林侑奈さん。

ブラームス、ショパン、シューマン、クララ・シューマン、サラサーテ。
曲間のトークも楽しみなプログラム構成ですね!

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<ご案内係り 清史郎>

06 : 22 : 24 | プログラム・内容 | コメント(0) | page top
<プログラム>8月5日(土)は、渡辺大輔 Quena WORLD ~極上の響きで愉しむ、ケーナの世界~
2023 / 07 / 27 ( Thu )

2023年 涼風祭 第3弾は、涼風祭初登場のグループです。
ケーナの渡辺大輔さんを中心に、二胡、ヴァイオリン、パーカッション、ピアノというユニークな組み合わせによる音楽ユニットです。

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しばらくは、猛烈に暑い日が続くようです。
皆さまご自愛の上お過ごし下さい。。

<ブログ係り 清史郎>
14 : 17 : 54 | プログラム・内容 | コメント(0) | page top
<プログラム>7月30日(日)は、 涼風祭 第2弾『チェロとピアノの共演 高原の風に乗せて!』
2023 / 07 / 21 ( Fri )

厳しい暑さの毎日ですが、いかがお過ごしでしょうか。

涼風祭は来週末からいよいよ始まります。
第2弾 7月30日(日)の当日のプログラムが仕上がりました。
出演者からのメッセージ、当日の演奏曲目、出演者プロフィールを載せています。

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高原の風と爽やかな音楽を、多くの方に楽しんで頂ければと思います。

<ご案内係 清太郎>
10 : 25 : 52 | プログラム・内容 | コメント(0) | page top
<プログラム>7/29 (土) 七変化 笑いと感動の落語会 のご案内
2023 / 07 / 11 ( Tue )

暑中お見舞い申し上げます。

涼しいはずの清里でも、日によっては30度越えを記録するようになりました。
全国的に猛暑が続きます。皆さま無理をなさらず、気を付けてお過ごしください。

さて、第15回涼風祭は7月29日(土)の七変化 笑いと感動の落語会で幕を上げます。
早速、春風亭昇吉さんからご挨拶のメッセージが届きました。

コンサートではプログラムをあらかじめご案内することが多いですが、落語はその場の流れに合わせて演目を決めることが多いということで、当日まで楽しみにお待ちください。

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<ご案内係り 清太郎>





19 : 26 : 37 | プログラム・内容 | コメント(0) | page top
『第15回 清里の森 涼風祭』開催のお知らせ ~ 2023年7月29日(土)から 8月26日(土) 計7回の公演 ~
2023 / 07 / 06 ( Thu )

毎夏恒例の涼風祭(すずかぜさい)は、今年で15回目を迎えます。
清里の森・森の音楽堂にて、多彩な音楽と芸能を発信し続けます。

今年は下記プログラム、計7回の公演になります。

7/29 (土) 七変化 笑いと感動の落語会
7/30 (日) 高原の風に乗せて!チェロとピアノの共演
8/5 (土) 渡辺大輔 Quena WORLD ~極上の響きで愉しむ、ケーナの世界~
8/6 (日) 実力派デュオが贈る珠玉のアンサンブル
8/19 (土) 津軽三味線 & 和太鼓演奏会「力音(りきおん)」
8/20 (日) 山口裕之とN響の仲間たち
8/26 (土) 大森たつし & 柗井拓野コンサート

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PDFはこちらから。

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■料金
全催事通用パスカード 1枚6,000円
前売券2,000円、当日券2,300円
※高校生以下の入場料は、全イベント無料です。

【パスカード購入特典】
15周年記念にて、パスカード購入者には
本イベントの1公演分の招待券1枚をプレゼント!

■時間
全イベント共通 14時開演 13時30分開場

■場所
清里の森音楽堂 山梨県北杜市高根町清里3545-1
【アクセスマップはこちらから】

■主催
清里の森音楽堂実行委員会、(株)清里の森管理公社  

■お問合せ
(株)清里の森管理公社 TEL:0551-48-3151まで

この涼風祭公式ブログでは、出演者プロフィールやイベント内容などの詳細情報をお知らせします。当日のプログラム内容やイベント後の来場者様のご感想なども紹介いたします。涼風祭終了までの模様を随時更新していきますので、お楽しみに。
(ブログ係り 清太郎)



14 : 32 : 10 | プログラム・内容 | コメント(0) | page top
齊藤一也(ピアノ)・飯川直美(ヴァイオリン) - 8月28日 -
2022 / 12 / 30 ( Fri )
(12月30日の掲載となってしまいました。申し訳ございません・・・。ブログ係り)

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初秋の気配を感じながら、昨日に引き続き音楽堂へ。

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涼風祭最終回は、昨年コロナで中止になったプログラムのリベンジ公演、

齊藤一也(ピアノ)・飯川直美(ヴァイオリン)
自然と巡る名曲ロマン紀行 Vol.2 〜晩夏の調べ〜

豪華な演奏者おふたりを迎えて、無事始まりました。

第一部は、齊藤一也さんによるピアノソロ。

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ラヴェル:ソナチネ

「ソナチネ」はソナタの小規模なもので、楽章は2つか3つ。技巧的に比較的容易で初心者の練習曲として知られています。子どもの時にピアノ練習でお世話になったことのある人も多いでしょう。

ラヴェルのソナチネ、私は朝の森を散歩しているような気持ちで聴きました。朝靄が晴れて光が射す庭、小さな水滴が葉っぱについてる様や、野の花を眺めているように。

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続いて、ショパン:即興曲 第2番
穏やかな夜想曲風の旋律から始まり、次第に様子も音量も変わっていきます。左手が低音域を響かせていると思ったら、急に微風のように右手がヒラヒラ舞う。難易度高そう。
即興曲という呼び名だけど、即興の雰囲気を演出するため精緻な計算のもと作曲されている曲。ジャズの即興とは真逆ね!

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2年前の涼風祭ではショパンとリストをたっぷり聴かせて頂きました。
その時の様子をご覧になりたい方は、コチラ →→

次は、一也さんの子ども時代の恩師という青木進さんの曲を。
青木進:子供のためのアルバム『午後のスケッチ』
1 陽だまり 2 夕立 3 虹の架け橋

童心に戻って。特に夕立の風景は、ぽつんぽつんと空から落ちてくる雨の粒に始まり、ピカッと光る稲妻と雷、驟雨まで。臨場感が溢れてました!

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ラヴェル:水の戯れ
再びラヴェル。パリで学ばれた一也さんにとってノスタルジーを感じさせる不思議な魅力があるそう。
私も大好きな一曲。美術の時間に何か聴きながら水彩画を描くとしたらコレが良いな。青の絵の具が無くなりそう。

前半最後はリストを二曲。

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リスト::ペトラルカのソネット 第104番
中世イタリアの詩人・ルネサンス人文主義者であったペトラルカは、報われぬ恋に苦しみ、それが恋愛抒情詩へと昇華されました。恋におちる喜びと苦しみを情熱的に表現した名曲。

リスト:ハンガリー狂詩曲 第12番
ロマ(ジプシー)たちの悲劇的な迫害の歴史、それを吹き飛ばすかのようなエネルギーを感じて聴いてくださいと一也さん。

※リストは、ロマ達が弾く音楽に感銘を受け、メロディやリズムを反映した作品集を「ハンガリー狂詩曲」と命名。ブラームスの「ハンガリー舞曲集」も同様です。正確には、地域に根付いた作者や作曲年月、場所が不明の音楽を「民族音楽」と定義し、それを研究したのはバルトークとコダーイです。

ピアノの魔術師と言われたリスト、カッコ良すぎる超絶技巧に女性ファン失神続出という逸話や、指が6本あるのではという噂までありました。
繊細ながら情熱的で力強い演奏に、ピアノのハンマーが壊れることが度々あって、予備のピアノを並べて弾いていたとか。
一也さんも激しい超絶演奏を披露してくださいましたが、音楽堂に一台きりの?グランドピアノ、幸い壊れず無事でした。


休憩挟んで第2部は、ヴァイオリニスト飯川直美さんの登場です。
ドレス姿が愛らしい直美さん、「7歳の時violin セミナーのため清泉寮に泊まり、ヤマネのぬいぐるみを抱えて帰った。17歳音高時代再び清泉寮に。そして今回また清里に♪」と自己紹介してくださいました。
なんと、これから演奏するフランクもラヴェルも、直美さん、一也さんの学んだパリ国立高等音楽院の大先輩なんだそうです。

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フランク:ヴァイオリンとピアノのためのソナタ
生誕200年、ベルギー出身のフランクが、同郷の後輩イザイの結婚祝いに献呈したこの曲は、理性的な冷静さがありながら、沸々とたぎるような内面の情熱が感じられます。酸いも甘いも噛み分けた六十過ぎ、大器晩成型のフランクだったから、名曲中の名曲が生まれたのでしょう。
この曲を聴くといつも頭に浮かぶのは「健やかなる時も病める時も…」という誓いの言葉。幸せな時ばかりでなく苦難の日々もあるかもしれない、それでも共に人生を歩んでいく、そんな決意を新たにするワタシ(笑)。
ヴァイオリンとピアノが交互に歌う箇所、素敵でした。実は若いお二人はご夫婦。これからお二人の歴史を紡いで、さらに熟成したソナタを聴かせてください。

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ラヴェル:ツィガーヌ
「ツィガーヌ」は「ロマ」を意味するフランス語。
作品の動機は、(巨匠ヨーゼフ・ヨアヒムの孫)ヴァイオリニスト ダラーニとの出会い。ラヴェルは彼女の演奏に感銘を受け、ハンガリー・ジプシー音楽の演奏を頼み夜明けまで聴き入ったそうです。
曲はヴァイオリン の哀愁を帯びたソロから始まり、途中からピアノが入り、次第に盛り上がっていきます。右手と左手ピチカート、重音、フラジオレット、と矢継ぎ早のこれまた凄い高難度奏法、カッコイイ〜!

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魔術的とも言えるエキゾチックな旋律はインパクト大!でした。

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アンコールは、しっとりとマスネ「タイスの瞑想曲」
続いてモンティ「チャルダッシュ」🎶

涼風祭最終回に相応しい凄いピアノ&凄いヴァイオリン、最強ペアの素晴らしい演奏に感動しました。
どうぞこれからもお二人揃っての素晴らしい演奏を聴かせてください。

森のスズコ

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今年の涼風祭が無事に終わりました。おめでとう御座います、パチパチ…
出演なさった皆さま、実行委員の皆さま、ボランティアの皆さま、会場にいらしてくださった沢山の皆さまに、感謝申し上げます。
どうぞお元気で。
また森の音楽堂でお目にかかりましょう。
10 : 39 : 28 | 感想文 | コメント(0) | page top
加耒 徹 バリトンリサイタル - 8月27日 -
2022 / 12 / 30 ( Fri )
(12月30日の掲載となってしまいました。申し訳ございません・・・。 ブログ係り)

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夏休みも終わりに近づき、涼風祭も残り2日となりました。
今回は、新進気鋭のバリトン歌手加耒徹(かく とおる)さん、作曲家・ピアニストの松岡あさひさんをお迎えしてのバリトンリサイタル 〜大自然を感じる世界の歌曲〜 です。

第一部は、生涯に600もの歌曲を残した歌曲王シューベルトから始まりました。
「鱒」は、ピアノ五重奏が有名だけど、ドイツ語で聴く男性の声もいいなぁ。歌詞は、ズル賢い漁師が罠を使って魚を釣り上げるさまを歌ったもので「男はこうして女をたぶらかすから、お嬢さんお気をつけて」という寓話なんだとか!
「野バラ」ワタシが小さかった頃、ご機嫌な父がよく口ずさんでいたっけ。懐かしい一曲。
「夜と夢」仄暗い静かな森を連想しながら美しいメロディに耳を傾けました。
「魔王」はゲーテの怖い詩。歌い手は、[子ども][父][魔王][語り]の一人四役を歌い分けます。伴奏のピアノも三連符最速連打のド迫力!

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標高千数百メートルの高地で、レガートを保つために高度なブレスコントロールを要する「夜と夢」や激しい「魔王」を歌うのは、そんじょそこらの歌手にはできない技でしょう。
徹さん、ホントは15分くらい休みたいところを休み無し!で、次へ。

5曲目からは英語で。
近代イギリスの作曲家クィルター「愛の哲学」は、軽やかなピアノ伴奏にのせたラヴソング。

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続いて、
民謡の採集や教会音楽の研究をしていたというヴォーン・ウィリアムズ「菩提樹の原」
広い空、草を食む羊、石垣の続く牧歌的な田園風景が目に浮かびます。

7曲目は、ブリテン編曲「グリーンスリーブス」
シェイクスピアの劇中でも言及される古いイングランド民謡。
中世・ルネッサンス期に「緑」は不倫の意味があったそう。んー意味深だ…
第一部おしまいは、アイルランドのメロディ「ロンドンデリーの歌」に歌詞をつけ1913年に発表された「ダニーボーイ」。
出兵する子を想う親の切ない心境が、今も戦争が続く世界事情に重なって胸に迫りました。

お疲れ様で、やっと休憩


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第二部は日本の歌から始まりました。

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山田耕筰「鐘が鳴ります」
鐘が鳴ります かやの木山に 山は寒空 遠茜
ひとつ星さえちらつくものを なぜに チラリとも 出て見えぬ
詩人北原白秋の何とも心寂しい片思いの歌でした。

瀧廉太郎「荒城の月」
音楽の教科書に載っていますね、七五調の歌詞に西洋音楽の旋律。
歌詞1、2、4番バージョンで歌ってくださいました。

日本の歌3曲目は、宮沢賢治(松岡あさひ編曲)「星めぐりの歌」
あかいめだまのさそり ひろげた鷲のつばさ あをいめだまの子いぬ ひかりのへびのとぐろ…♪

銀河に自分の想いを投影して、言葉で紡ぐのみならず親しみやすい旋律にのせた宮沢賢治。それをさらに、満天の星がチカチカと瞬いているように編曲なさった松岡あさひさんの才能にも驚かされました。

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マイクを持ったあさひさん、天文に詳しい弟さんとまた小淵沢に来たいと話してくださいました。徹さんは「ソドレミ♪」で始まる曲が沢山ありますねと語ってくださり会場の皆もホ〜…感心しきりでした。


雰囲気一新、次は映画音楽『ティファニーで朝食を』より「ムーンリバー」
スクリーンの中のオードリー・ヘプバーン綺麗だったなぁ…
麗しい徹青年のバリトンは爽やかな色気があって〜ハートにぐっときました♡

ディズニー映画『わんわん物語』より「ベラ・ノッテ」
Berra Notteはイタリア語で素敵な夜という意味だそう。レディとトランプ(ワンチャン)がパスタを食べながらキスするシーン、有名ですね。
映画音楽二曲は、あさひさんのお洒落なジャズっぽい即興ピアノ伴奏が際立っていました。

続いてフランスのロマン派作曲家フォーレ「月の光」
月の光や噴水が描かれた一枚の絵をみるように聴いてくださいと徹さん。冒頭のメロディに耳を傾けていると、メヌエットの繰り返しの小節の途中から前触れなく歌が始まり、歌とピアノが絶妙に絡み合い、夢幻的で甘美な世界が現れたのでした。

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ワーグナー 歌劇『タンホイザー』より「夕星(ゆうづつ)の歌」
オペラとは、登場人物の台詞を全て歌で表現しストーリーが進行する、ドラマと音楽の融合芸術。豪華絢爛な舞台に立つ歌手の方々のお姿をリアルに拝見したいものです!

最後は、ミュージカル『レ・ミゼラブル』より「stars」
ジャンバルジャンを追い続けた刑事ジャベールが、いつか必ず奴を捕まえてやると星に誓いを立てるシーン 。
太く長く張りと艶のある声量に、会場にいた全ての人が驚きをもって聴き入っておりました。もう、素晴らしすぎてワタシは感動の鼻水が。

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拍手拍手に応えてのアンコールは、「テントウムシ」
松岡あさひさんのお父上、貴史さん作曲。なんとお母上も作曲家でいらっしゃる。五線譜が飛び交うお家なのねとびっくり。

お花畑の中を テクテクテク♪♪♪ テンテンテン♪♪♪
みんなで春の大空をブンブンブン♪♪♪テンテンテン♪♪♪
疲れたらちょっと休憩 スウスウスウ…

可愛らしい曲でした🎶

アンコールもう一曲は、イタリアのカンツォーネ「オー・ソレ・ミオ」
O sole mio は、私の太陽 という意味。
陽光眩しいナポリの風景を感じながら明るく幕が閉じました。

加耒徹さん、松岡あさひさん、
最高に素晴らしい演奏を、ありがとうございました。
八ヶ岳山麓の星空を観に、また是非ともお運びください。

森のスズコ
追っかけたいわ♡

09 : 57 : 04 | 感想文 | コメント(0) | page top
山中信人(津軽三味線)&神田京子(講談) - 8月21日 -
2022 / 12 / 29 ( Thu )
ブログ係り清史郎です。
今年も残りあとわずかとなりました。
涼風祭からはや4ヶ月。諸事情によりブログ更新が出来ずにおりました。
お詫び申し上げます。

6回目の公演から順次再開しますのでご笑覧ください。

++++++++++++
ブログ再開第一弾は、8月21日の公演~音魂・言魂~弦の響きと怪談話。
日本の伝統文化である津軽三味線の山中信人さんと講談の神田京子さんによる珍しい融合でした。

ご来場の皆さまから頂いたメッセージと写真でお楽しみください。

まずは、メッセージから:
『講談が難しい話でなくて良かったです。「時は元禄何年~ベンベン」みたいな。三味線生で久しぶりにききました。気持ちいい~』

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『今年の涼風祭の一番の楽しみでした。昨年の中止はとても残念でした。風林火山は私のお気に入りです。最高です。初代高橋竹山,二代目女性竹山その他の津軽三味線の演奏をききましたが山中信人さんは最高です。第二部神田京子講談 来年も是非!』

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『津軽三味線はぜひ聞きたく楽しみにして来ました。土砂降りの雨でずぶぬれになりましたが来た甲斐がありました。山中さんの超絶技巧天才だと思います。』



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『津軽三味線×講談コラボ 二倍でなく二乗の出来。大いに楽しみました。』

『三味線の音の深さに感動。ストーリをイメージできた。コラボが最高!神田京子さんありがとう。』

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『このような機会がないと触れることのない芸能を知ることができ感謝です。』

『しみじみと文化芸能を堪能でき大変良かった。』

『初めて生で講談、津軽三味線をききました。どちらも引き込まれました。文楽、落語、歌舞伎などはときおり楽しみますが、よい経験になりました。機会があればまた楽しみたいです。』

++++++++++
来年も日本の伝統芸能を披露して頂けると嬉しいですね。
(清史郎でした)
19 : 00 : 17 | 感想文 | コメント(0) | page top
山口裕之ストリングカルテット - 8月20日 -
2022 / 09 / 18 ( Sun )

お盆が過ぎて寒いくらいの清里。あいにくの小雨の中、恒例のガチ・クラシックtimeの始まり始まり。

長年N響でコンサートマスターを務めていらした山口裕之さん率いる実力派の方々は、ヴァイオリン宇根京子さん、ヴィオラ飛澤浩人さん、チェロ山内俊輔さん。涼風祭では連続三年目のご出演です。

バルトークって何?難しすぎる!という苦情?が噴出した(笑)一年目、
殆ど無言で演奏に終始していた四人の演奏者の方々の素顔は謎で、ワタシは勝手な妄想を飛ばしたりしてました…(その節は失礼しました)が、
二年目、ガッツリ聴かせてくださるスタイルにお客さんたちも少しずつ馴染み、
三年目の今年は、まるで旧知の友に会ったかのような気分になった方もいらしたのでは。

バルトークって誰?
ベートーヴェンってどんな人?
お知りになりたい方は過去2回の鑑賞日記をご笑覧ください。
2021年鑑賞日記
2020年鑑賞日記


ステージにマスク姿で登場なさった四人、あれは外してポケットにしまうのかと注視してましたが、マスクを付けたまま演奏が始まりました。

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ワタシはアマチュア奏者の端くれとして、あれがどんなに苦しいか知ってるわ。鼻でスッと吸う小さな音、微かな動作や互いの目線で曲の出だしやリズムの境目を察知するのに、マスクは邪魔モノ。
個人的には、事前に検査を受けていただければ充分ではないかと思いました。

ベートーヴェン 弦楽四重奏 第3番 ニ長調

難聴という苦悩をまだ知らなかった若き作曲家の青春の一頁のような、穏やかで明るい曲。
四つの弦楽器が交互に奏でるメロディ、形を変えながら途切れることなく続くメビウスの輪のような繰り返しが楽しく、美しい。

随所にコミカルなノリを感じさせるところが、実は冗談好きだったというベートーヴェンらしくて好きだなぁ♡

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バルトーク 弦楽四重奏 第1番

古典的なベートーヴェンの次はガラリと雰囲気が変わり、話題のバルトークtimeです。

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ベートーヴェンの生まれた1770年から111年後の1881年、ハンガリーに生まれ、太平洋戦争の終結した1945年ニューヨークで没したバルトーク。
彼の生み出した曲の数々は、聴衆に安らぎを与えるというより、挑発し、揺さぶり、しばしば不安な気分にさせるもので、色でイメージすると灰色だったりモノトーンに近いかも。綺麗な花が咲き乱れる田園風景は残念ながらずっと現れない…

しかしながら民族音楽研究家であったバルトークの音楽は、どこか土の匂いが立ち上ってくるような、身体の奥から沸々と湧いてくるような、原始的な何かを感じさせる不思議な魅力がありませんか?

苦手だからとシャッターをがらがら下ろす前に、ちょっと待ってぇ、折角のチャンスだから味わってみましょうよと声を大にして言いたい。
音色やリズムを、脳内でどのように受け止めるかは個々の自由。あまり難しく構えずに想像の翼を広げて、怖い音もヘンテコなリズムもひっくるめて面白がれたら、それで良いんじゃないのかな?
ハマりますよ。

休憩挟んで後半のステージ
ドヴォルザーク弦楽四重奏曲 第12番 へ長調「アメリカ」

バルトークより少し時代を遡り、1841年に生まれ1904年プラハに没したチェコの国民学派を代表する作曲家ドヴォルザークは、円熟した五十の頃アメリカの音楽界に招かれ渡米。ボヘミアからの入植者たちが多く住む街を訪れたときに、同胞たちの中で過ごす安堵感から祖国を思い出し、楽しく作曲したのがこの曲だそう。
彼は渡米後『黒人の旋律の真の価値』や『アメリカの音楽』と題する論文を発表し、黒人やネイティブ・アメリカンの音楽の豊かさを啓発したそうです。
スラブ的でありながら、アメリカのフォークロアの影響が現れている「アメリカ」。誰もが口ずさみたくなる親しみのある旋律、バルトークとは違った大いなる安心感?に包まれて(笑)ゆったり楽しみました。

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アンコールは、
地球儀をぐるりと回して島国ニッポンにもどり、「日本の歌メドレー」で和やかに締めくくり♫
マスクの下でそっと小声で歌っていた会場の皆さん、楽しかったですね〜
マスクなしで堂々と奏で歌える日が来ることを願ってやみません。

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山口さん、宇根さん、飛澤さん、山内さん、
今年も素晴らしい演奏を聴かせていただき、ありがとうございました。
またのバルトークを首を長くして待っています♫

森のスズコ

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